技術職は理系スキルを駆使した開発や設計がメインの仕事なので、
- あくまでも指定されたプロジェクトの範囲内で活躍する
- どんな技術分野に関わるかは好きに選べない
という風にお思いの方も多いはず。
まあ会社なのでそれは仕方ないしたしかに多くはそうなんですが、「まるで自分が企画部かのように "本当に自分が欲しいと思えるもの" をゼロから開発スタートできる」ということも稀にあります。
実はここ最近まさに僕自身がこのイベントに当たっており、

これとんでもなく楽しいし、間違いなく技術職でしか味わえないメリットだな
と思ったので今回記事にするという感じです。
このメリット・魅力については 3つ 紹介してみます!
たぶんこういう経験をしたことのある技術者はあまり多くはないので、今回のような実例ありきの話はなかなか読めないかと。僕も頑張って書きます。
普段の「技術側」の立ち位置
僕ら「技術」、つまり「開発/設計職」と呼ばれる人間は普段はこういうポジションです。
基本的にどこか別のところから開発需要が投げ入れられ、それに応えていくというもの。
普通の業種でいう「営業が仕事を取ってきて社内で検討する」みたいのとほぼ同じです。会社として役割を機能別に分けているんだから当然ですよね。
これが普段の状態というわけ。
ちなみに開発系の職種でも性質は色々あり、やることの方向性も随分パターンが分かれていることは知っておいてください。詳しくは実際の開発/設計職の仕事の記事をどうぞ。
タイミングや運次第では「技術側」からネタづくり(=企画)できることも!
ところが、色々良いことが重なると僕ら技術側から新しい開発ネタなどを上げる機会に恵まれることもあるんです。
ありそうなケースは以下のような感じかと。
- たまたま新しい技術に気付いた、開発できた、モノをつくれた
- 事業やプロジェクトが移り変わるタイミングで開発ネタがどこからも投入されていないタイミング
- もともと要素技術部(※)のようなところにいる
- 既存技術の応用を考える部署・チームにいる
上の2つは運や時期が絡みますし、下の2つは例えそういう所属であったとしてもその機会に恵まれるかは分かりません。しかし確率が十分にあるのは間違いないと思います。
僕はというと、たぶん今回は挙げた4つ全部の要素がうまくマッチして新規プロジェクトスタートの運びとなれました。
ちなみに※を付けた「要素技術部」とは、「製品自体の開発ではなくてそれの構成技術ネタとなるような部分の開発を行う部署」という感じです。
気をつけたいのは、部品(モノ)で分かれているというよりは技術で分かれているということ。
上図の例で、例えば
- コントローラーはそっちの部署ね
- ディスクドライブはあんたのところね
なんてやってたらそれは単なる製品開発と変わりません。商品が変わったときに応用が効かないですから。
そうなると、「この技術を応用して全然違う他のものを作れないかな?」などとなりやすいわけです。
これらに関連する部署に配属されることがあれば、「自分たちでネタを考えて商品化まで一気にいける!」というケースも随分と期待できると思います!

僕も長い間これ系の部署にいますよ~(名前は全然違うけど)
開発のゼロ(=企画)から関われる大きなメリット3つ
では運良くそういった機会に恵まれたとして、「もし技術職で企画から携わることができたらどんなメリットがあるのか?」という内容を 3つ に分けて紹介してみますよ。
言うまでもなく、全部僕自身が実際に思った経験で書いてます。
1.「売れるため」に技術者視点ではなくユーザー視点で物事を考えられるようになる
もうこれです。絶対これ。
僕がすぐに痛感したのが「ただすごい技術が詰まった製品を作ればいいってわけじゃない」ということでした。
これまで技術側にいた目線としては
という考え方しかなかったのに対して、
という風に考えるようになったんです。いや、「考えなければならない」の方が近いかな。
社内政治的な都合もあり、何か新しいことを始めようとすると
- なんでそれを始めようと思ったの?
- どういうモノなのか端的に説明してくんない?
などと100%訊かれます。実際に嫌というほど訊かれた。
これに対して今までは「別に僕たちが始めたんじゃなくて◯◯が作れって言ってたから~」で済んだところを、説得力のある内容をもって答えないといけません。
社内で納得してもらえないものが一般のお客さんに受け入れてもらえるはずがありません。
で、これはそのままマーケティングスキルや広告の考え方に繋がっていきます。
せっかく自分たちで立ち上げたプロジェクトなんだから、当然バカ売れして欲しいです。お店に並んで多くの人が使ってくれたらめちゃ嬉しいもん!
そのためには「どうやったら売れるか」まで必然的に考えませんか?
「機能が良い」だけではダメです。手頃な価格、お店でパッと買いやすい形態、理解しやすい商品コンセプト…。もっと言うと別に技術自体の新規性さえなくてもいいというところにまで思い至ります。
ユーザーが感じる価値や体験の向上って、そういうことなんじゃないの?
実際に使うときの気持ちになって考えたら◯◯なんじゃないの?
と心底ユーザー視点で考えられるようになれたんです。
「せっかく技術職に就いているのにマーケティングスキル?そんなん要らないだろ」
と思ったあなた。
これは僕は全力で否定させてもらいます。
僕はもともとこのブログや他のサイトを運営しており、副業として収益化も進めていたので
- 広告、セールスライティング
- モノを売るということ
- ユーザー心理
みたいなものはそこそこ体感とともに勉強できていました。
それが新規プロジェクトで死ぬほど活きたんです。

ユーザーはこのときこう考える、だからこういう売り方をしたら絶対に買いたくなる
みたいな内容をガンガン発信していったらめちゃめちゃ評価されたんですよね。
僕くらいの若手では絶対に打ち合わせすることのないようなお偉方にもこういうプレゼンができる機会にも恵まれ、結果すごい響いたみたいです(この年度のボーナス査定Aついた)。
マーケティングのスキルは、場所や環境によらず必ず人生で役立つ力となります。これは間違いなく断言できる。しかも周りが技術系の人間だらけなら間違いなく目立つ存在になれます。
「技術職なのにマーケティングはもったいない」 |
ではなく、
「技術職なのにマーケティングも勉強できちゃう」 |
の方が遥かに自分の人生を良くしてくれそうな考え方だと思いませんか?
さらに言えば、一介の技術者としてもユーザーの視点に立てる人のほうが遥かに有能でしょう。
技術は使われてこそ初めて生きるもの。独りよがりなエンジニアは文字通りどんどん孤立していきます(こういう人ホント多い…!)
というか、単純に「相手の立場になってコミュニケーションを取れる人の方が人間的にも5000倍良い」って思いません??そういうとこにも繋がってくると思います。
「売れるための考え方が身につくと色んないいことがあるよ」という話でした。
2.開発ステップの始めから終わりまで経験できる
大きなメリットの2つめは技術的な方のお話。
アイデアの企画からやるということは、製品や技術の開発は何にも始まっていない状態からスタートするわけです。
この企画段階から開発に携われることは技術職でも非常にレアなケースなんです。
普通はプロジェクトに対して人が入れ代わり立ち代わり出入りしますし、自分たちからスタートしたものじゃない場合は「最後まで面倒を見る」という感じもあんまりないですよね。

なんか想像していたものとは違うカオスな図になった
ところが技術側からのスタートなら「アイデアやコンセプトを考えた人を飛ばすわけにはいかないし、最後までやってほしい!」みたいになりやすいというわけ。
そうするとプロジェクトの最初から最後までずっと見られることになります。
モノづくりの開発ステップというのはたぶんみなさんが想像している以上にずっとやることが多く、その区分けもなかなかにややこしいです。

例えば「量産」と言われるモノづくりの最終工程だけでもこのくらいあります(期間にしてだいたい1~2年)。もちろんここに至るまでの工程の方が遥かに多いことも。
これを「1つの流れ」として全部経験できるのは僕は間違いなく大きなスキルになると思うんです(しかも若いうちに!)。
プロジェクトの進みを理解するということは、それすなわち
|
のような利点も生んでくれるわけです。
これは40歳以上のベテラン諸先輩方みんな言っていたことなんですが、
とのことでした。
そんな貴重な経験ができているならやっぱりこれは技術職としても間違いなく大きなメリットなんだなと思うわけです。

ちなみにまだ「最後」は見れてません…。このあとどうなるかな。
3.特定のスキルに偏らず俯瞰的な視点を養える

※「バランス」と「俯瞰的な視点」で画像を探したらこうなったんですが全く意味が伝わらなそうで笑ってます
最後。
少し前の2番と似ているんですが、もっと技術寄りな内容です。
一般的なプロジェクトに1人の技術者として関わる場合、自分が受け持つ仕事は「全体の一部」であることがほとんどです。
それらを組み立てる、もしくは単に足し算するだけで1つのチームになる感じですね(しかもそれはリーダーやマネジメント職の人しかやらない)。
この状態って、自分が担当する範囲の技術やスキルしか磨かれないと思いませんか?もっと言うと視野が狭い。
これってすごくもったいなくて、もう少し周りに目を向けるだけで自分の成長のチャンスはいっぱい転がっているはずなのにそれを潰されているかのような状態になっているんですよね。
でも技術側からアイデアのタネを育てていった場合はどうでしょう。
実現したいユーザー価値のためには、常に全体を俯瞰する視点を全員が持っていないとダメそうに思えませんか?
せっかく技術職である僕らが「こういう商品だったら売れる…!」みたいのを考えているのに、その中で1人だけ「俺はもらった仕様だけはきっちりやるぜ」みたいな奴がいたら「は?帰れや」ってなりますよね。
つまり自然と俯瞰的な視点を養えるような環境になるということ。
全体俯瞰の考え方は、技術職、いや仕事に限らずなんにでも重要なのは言うまでもありません。視野が狭い人よりかは絶対に魅力ありますよね。
なおかつ僕らはやっぱり技術職なので、他の専門分野のチームメンバーがやっている仕事にも興味が持てる→他方面でのスキルアップが望めるというメリットも孕んでいます。
例えば僕はもともと電気/ソフト系が専門なんですが、今回の件で
- 光学
- 機構
といったそれまで全く知らなかった分野について随分知識を深めることができました。簡単なレンズとかならもう光学シミュレーション・光路設計もできるようになっちゃいました。
いやーホントいいことだらけです!
技術的にもおいしい点はたくさんあるよ!という話でした。
ものづくりで技術職を目指したいなら
「技術職なのに自分たちが欲しいものを企画すること」という内容について
- どういうチャンスがあればそうなれるか
- 大きなメリット3つ
などをお話しました。
これらは「技術職」だったらどんな仕事でも適いそうな気がしますが、僕は「ものづくり」に関わる技術職、つまりメーカー(製造業)での技術者が一番おいしいんじゃないかと思っています。
今回ご紹介した3つのメリットも、かなり「モノ」にフォーカスした内容でしたよね。
- ユーザー価値やマーケティング
→無形物だとあまり活かしにくい。IT系よりモノづくり! - 開発ステップの経験
→プロジェクト経験をスキルとして主張できるのは製造業の特徴! - 全体俯瞰、他分野のスキルアップ
→一同に複数の分野の人が集まるのはモノに関わる技術者くらい?(違ったらごめんなさい)
という感じ。
なので僕は「ものづくりに特化したエンジニアになること」を友だち含めすごくおすすめしてます。このブログでもいつも言っている通り!
というわけで、今回は技術職の大きな魅力の1つをアツく語ってみました。
おわり。