「記事を書く」という動作を息をするように行えるようになってきました。
スキルというのは、比較的長いある一定の期間それに取り組んだあとに改めて振り返えったとき「あぁ成長したな」と感じられるもののことを言う、と僕は思っています。
これまでの人生で感じたこの「成長」というのは僕の場合ほとんどが楽器の演奏に関わるものだったのだけれど、ここに新たに「ブログを書くこと」が加わった、という形です。
なんかそういうのを振り返ってみつつ、普段どんなことに意識を払っているかなー?というのも書き出してみようと思ってこの記事を書いてます。
ブログをやっていなくとも、「普段から文章を書くのがちょっと苦手…」という方にもお役に立てる内容なはずです。
1.まず考えるべきは「何を伝えたいのか?」だけ、他はいらない
何を言いたいか分からない文章というのは、残念ながら読んだ後に読者の心にも残りません。だって何が言いたいか分からないんだもの。
まず考えるべきことは「自分はこの文章で何を伝えたいんだろう?」ということに尽きます。本当にこれだけ。他のことは一切考えなくていい。
文章を書くときに一番大切なのは「あなたが何を伝えたいのかをまずハッキリと伝える」ことだと思ってください。
これを心がけるだけであなたの文章は見違えるほど素敵なものになります。
なおかつ、その内容がセクションの一番初めに置いてあると読者はさらに安心します。いわゆる「結論を先に書け」というやつですね。
人間の脳は「結論→なんで?」という流れで思考が進むようにもうなっているので、素直にこれに従った方がいいというのが実情としてあります。
ただしこれは記事の性質や自分のスタイルとして可変させてもよい。僕も意図的に結論を先に書かないようにすることはよくあります。推理小説が「このお話の犯人は◯◯なんだけど…」と始まったら嫌ですよね。極端な例だけど。
そして「伝えたいことを明確にするメリット」はもう一つあります。
記事の趣旨が途中でブレなくなるというもの。
何を伝えたいかちゃんと決まっていない記事は、何千文字か書いたところで文章が迷子になってしまって頓挫するということが起こりやすいです。
僕も「この記事ネタ面白くなりそー!」と勢いだけで書き始めて途中で「これなんの記事?」ってなるのはまだやっちゃうんですよね(その場合は記事ネタごとゴミ箱行きか、もしくは伝えたいことを明確に思いつくまで一旦除外する)。
これは「結論を先に書け」という文章テクニックからは一歩進んだ、「記事を書くための重要なテクニック」と言えるかもしれません。
まとまった文章を書くときは「まず結論を明確にしよう!」と意識してみましょう。
2.必ずアウトラインの設計から始める
何を伝えたいかが明確になったら、その作業の延長で「アウトライン設計」をやります。必ずです。
アウトラインとは、ブログ執筆においてはすなわち「見出しの構成」と理解してください。だいぶ誤解を招く説明だとは思いますが、まずは端的にそう思っておくのがおすすめ。
というのも、「伝えたいこと」が明確になっているうちに骨組みを作っておけば、なにをどうやっても記事の趣旨がブレることはなくなるんです。
さっき言った「文章が迷子になる」件は、そもそも論として伝えたいことがハッキリしていませんでした。前提が終わってたわけですね。
しかし
- 何を言いたいかハッキリ決まっている
- どういう順番でどこに何を書くかも先に設計できている
というこれだけのベストコンディションなら、何をどうやっても途中で間違うはずがないです。慣れない人が整頓された文章を書く一番のテクニックだと僕は心から思います。絶対にやった方がいい。
僕が普段記事を書くときの手順はこうです。
- 記事タイトル(仮)を決める
- 序文となる冒頭部分(最初の
h2
見出しまで)を書く、このとき何を伝える記事なのかハッキリと書くことで自分自身にも意識させる - 最も大きな章立て(
h2
見出し)の内容と順番を決める、このとき大まかな話の流れも考える - 本文を書きつつ、次に大きな章立て(
h3
見出し)の構成を決める...(繰り返し)
という流れ。
一応補足しておきますが、毎度完全にこの流れではないです。
- タイトルをあえて決めずに内容を書いてから思いつくことを期待することもある
- 冒頭の序文と最初の
h2
見出し構成の検討が逆になることもある - 記事によっては話の流れなんかクソくらえで書きたいように書くこともある
など。
ただ、この基本原則から大きく逸脱することはゼロです。この考え方は常にあります。本当に文章が変わるのでぜひやってみてほしい!
「こんな単純なことで自分の書く記事が読みやすくなるんだ…!」
と感動すると思います。お試しあれ。
3.余計なことは書かない、あとから追加しようと思った内容はだいたい要らない
さっきの2番までの内容が完璧、つまり
- その記事で言いたいことがバッチリ決まっている
- 記事の構成も先にちゃんと考えられている
という状態であっても、実はまだ安心はできません。
本文を書いているうちに「あ、そういえばあれも書きたかったな」などと色々思いついてあれやこれやと足していくわけなんですが…。
このパターンで追加した内容はだいたい書かない方がよかったという結果になりやすいです。個人的な経験則によるものですけど、わりと同意してもらえるかなーと思います。
なんでか分かります?
これは今のみなさんなら簡単に分かるはず。
最初に思いついてなかったということはそれは本当に伝えたいことではなかったというだけのことなんです。
つまり「存在する/しないに関わらず記事の結論には影響を与えないもの」だと理解するとよいです。
もちろん情報は多いに越したことはないんですけど、それによって読みやすさや結論の伝わりやすさが損なわれるとなると話は別です。
なるべくならシンプルでスッキリした文章で自分の言いたいことを100%伝えたいところ…!
で、一応言っておきたいんですが、僕はこれはできていない自覚があります。
普段このブログをお読みの方は特にお気づきだと思いますけど、僕はわりと記事が長くなりがちなタイプです。サクッと読める記事が主流の現代において、この「みるめも」はわりと異質だと思います。
これを言ってしまうと言い訳がましいとは思うんですが、「雑記ブログだし自分がそのとき言いたいと思ったことを大事にするっていう考え方もありなんじゃね?」と思っているんですよね。
なのでこの問題に気付き始めてからは記事の性質によって考え方を分けていて、
- 今回の記事みたいに「要点を相手に伝えることが重要」と思われる記事では無駄な追加は極力なくす
- オピニオン記事とか、なんかどうでもいい感想記事とか
(このブログだいたいそんなん)そういう記事では思ったことはちゃんと追加する
という感じにしてます。
ね、今の話も長かったでしょう?(うまくまとめたつもり)
4.ポジションを明確にしろ
だんだん文章の内容や細かいテクニック系の話へ移っていきます。(これもアウトライン設計!)
「結論を先に明確にしておくこと」には大きな利点がいくつもありますが、そのひとつが「この書き手は果たして◯◯についてどっちの立場の人間なんだろう?」というポジションを明確にさせる、というもの。
書いている人の立場が分からないと読み手は不安になります。
例えば「消費税は増税しない方がいい」という演説をしている政治家が与党か野党か分からなかったらめちゃくちゃ不安になりませんか?話が頭に入ってこない気がしませんか?
これです。
その人のポジションが明確になっていないと、同じ意見を同じように述べたとしても読者にはびっくりするほど伝わりません。「私は◯◯としてこの意見を言っています」という部分が抜け落ちているからゴールが見えないんですね。結論がないのに理由だけ話しているのにも似ています。
特に何かについて意見を述べるときは「自分がどういうスタンスなのか」をハッキリさせることを心がけましょう。
ここまで揃っていれば、他の人が書く多くの文章とかなり差をつけられるはずです。
5.事実と感想、このバランスにこだわるのだ。
記事にもよりますが、事実だけを淡々と伝えることが価値になる場合もあればそうでない場合もあることを理解しないといけません。
例えばニュースサイト。
消費税増税に関する記者個人の意見が5000文字書かれた記事に価値があるでしょうか?
ないですね。
では逆に個人ブログで消費税の増税を扱うときはどうでしょう。
2013年13月13日13時13分に、トランプ内閣総理大臣が消費税増税に関しての法案を公開しました~~~~うんたらかんたら~~~
とかどう間違っても書かないですよね。
さすがにこれは多くの人が理解している点です。
じゃあこれを「どのくらいのバランスで混ぜ合わせるか?」というところに面白さがあります。
サイトの趣旨にもよるし、記事にもよるし、書き手の考え方にもよる。よるんだけど、あなたが伝えたいオリジナリティある部分をハッキリさせつつ、その根拠として適切に事実を提示するのがやっぱり理想なはずです。
これは答えのない話なので一種の芸術でさえあると思いますが、1つだけ簡単なポイントを紹介しておきます。
「数字」か「~と言われています」などのワードを書いたらソースを提示するようにしてみてください。
読み手は具体的な要素がいきなり登場すると「それほんと?」とすぐ疑います。彼らはいつも疑っていますが、特に疑り深くなります。
そこですかさず情報の出展をつきつける!!
このポイントを抑えるだけで記事がぐっと盤石なものになります。欲を言えばリンク先のソースも民間のサイトではなくなるべく公的な機関や組織によって運営されているものだといいですね。
例えばWikipediaのリンクをソースとして使うくらいなら、そのWikipediaの中で「引用元」になっているページを自分で見に行く方が100倍おすすめです。これはちょっとSEO的な話でもあるけどね。
これだいぶ実践的なテクニックなのでわりと有料級だと思う…!
あと失敗例として、これはわざとですけど、以前あえて一切の事実確認をせず自分の考えだけで政治/お金の話をしたことがあります。
この例はつまり「事実0:意見100」だったわけで、今見返してもふわふわしててイマイチ地に足が着いていない感がある記事に見えます。まあ狙ってやったことではあるんだけど…。
「根拠がない記事の微妙感」を味わってみてください。そうすれば「感覚だけで記事は書いちゃいけないんだな…!」と分かるはずです。
6.文のまとまり、視覚的な効果
ここでは少し話の視野を広げ、文章だけではなく「記事として見たとき」のポイントを扱ってみます。
内容は
- 文の見た目の印象
- 「箸休め」ならぬ「目休め」
- 漢字とひらがなの使い分け
の3つです。
それぞれ簡潔にまとめると、
- 一段落の文章量を適切にしよう:真っ黒で文字だらけな部分は絶対読み飛ばされるぞ
- 「文字ばっかり」を防ぐためにイラストや表、箇条書きリストや囲み枠などを適切に使おう:SEOでも大事だぞ
- 無理して漢字を使うのをやめよう:特に単語や熟語以外の文節で意識してひらがなを使うとスマートだぞ
です。
要は同じ文章でも見た目が悪いと読まれないという話です。
書籍は「読もう!」と思って読まれるものなので文の中身だけで勝負すればいいですが、不特定多数の人に読んでもらいたいブログなどの媒体では「いかに読み飛ばさせないか」がカギ。
アクセスデータの解析をすれば分かりますが、ほとんどの読者は適当にスクロールしていて全部なんか読んでいません。
これを防ぐために、
- こうやって箇条書きのリストを入れたり
- 図やイラストを入れたり(本記事ではわざと1つも入れてません、理由は割愛)
するということですね。
僕はこの「本文の文字以外の要素」のことを箸休めならぬ「目休め」と勝手に呼んでいて、ブログのデザインも合わせて何度も何度も作り変えたりしています。楽しいところだよね。
最後、漢字とひらがなの使い分けですが、これも簡単なポイントを1つだけ。
慣れていないとだいたい漢字が多くなりがちなので、意識してひらがなを使うようにするのがおすすめです。
文末の
- ~ください/~下さい
- ~してほしい/~して欲しい
- ~のはずです/~の筈です
- ~ということ/~という事
などに気をつけるとだいぶ美しくなります。あ、「など/等」もそうだな。
試してみてください。
7.文のリズムは最も奥深いテクニック
お次は「文のリズム」について。
今回の記事の中で一番難しい部分であり、これの説明自体も難しいなぁとだいぶ悩んでいました。
というわけで、今回は恥ずかしがらずに自分自身を例にすることにしてみました。
本記事のここまでを読んでいただきもし「読みやすかった!」と思っていただけた場合は、気に入ったところを声に出して読んでみてほしいんです。
「なんとなく読みやすい文章」というのは「文のリズムが心地良い文章」のことです(もちろんそれだけじゃないけど)。
- 息継ぎの間
- 文の収まりの良さ
- 主語→修飾語→述語と、ポンポンポンと進んでいく小気味の良さ
などの要素が上手くマッチしたとき文章は読みやすくなります。個人的には「文節ごとの文字数」もかなりキーだと思っています。
ここは僕もまだまだだと思っているところであり、正直「この記事の全ての文章のリズムが完璧か」と言われると「滅相もありません」という感じなんですが、今の自分のスキルを試す場としてもみなさんにテストしていただくのが良いかと考えました。
なかなかコツを言語化できないポイントではありますが、もしこの記事自体が良い例になるのなら色々参考にしてもらえるかなと、思った次第です。
例によって1つだけポイントを挙げるとするなら、「文のリズム」とはつまり「句読点の打ち方」の話だけではないということ。
息継ぎやブレスなど「文の切れ目になる箇所」は読点[、]だけだと思われがちですが、そうではありません。
具体例がサッと出せないですが(力不足…!)、場合によって読点[、]を打ったほうがいい場合と打たないほうがいい場合とに分かれます。まずここを意識してみてください。
言うまでもないですが、文節ごとに、点を、とにかく、打ちまくるのは、今すぐ、やめましょう。
8.主語と述語など要素の主従関係を明確にする
最後!
「主語に対する述語をちゃんと意識した文章にしよう」というものです。
これね、本当によく見かけます。
理由は簡単で、自分が書いた文章を一度も読み直していないからなんですよ。
主語と述語がちゃんと繋がっていない文章は、国語や文法が苦手なあなたでも異変に気付けます。
今、分かりましたか?
ちょっと違和感がありましたよね?
実は今の本文自体が既に具体例になっていました。
主語と述語がちゃんと繋がっていない文章は、国語や文法が苦手なあなたでも異変に気付けます。
正しくするなら、例えばこうです。
たとえ国語や文法が苦手なあなたでも、主語と述語がちゃんと繋がっていない文章なら異変に気付けます。
悪い例では
- 主語:「文章は」
- 述語:「気付けます」
となってしまっており、途中で現れた「あなた」と主語がすり替わってしまっています。
適切に文節を並び替えて助詞を整理することで、
- 主語:「あなたでも」
- 述語:「気付けます」
となります。
まあギリギリなんとか伝わりそうなラインでしたが、読みにくい文章であることには変わりません。
(10分くらい唸ったんだけど悪い例の文章がどうやっても書けなかった…)
リズムのところとも関連しますが、とにかく自分が書いた文章を一度読み直すという作業は必ずやるべきことと思っておくのが吉です。
これを行うだけで全体の推敲も行える上、読みやすい文章づくりのスキルアップの場とすることもできちゃいます。
トライ&エラーを繰り返して一緒に文章力を鍛えていきましょうー!
追記 (2021/4/2) :本稿と姉妹記事的な位置づけになる、「僕が思うリライトのポイント!」という記事も書きました。
実はブログは新規投稿してからが本番。リライトはまさに「トライ&エラー」なのだ。
おわりに
今回はおふざけなしで真面目に書いた。
途中で何度もいつもみたいなくだらないボケを入れては「ダメだダメだ… "読みやすい記事を書くためのポイント" という記事の中で読みにくくなるボケは入れられない…」とBackspaceを連打してました。ちゃんと消してえらい!!
でもわりと言いたいことをちゃんとまとめられた気はしていて、個人的には満足です。
もっともっと「読みやすい記事」「読みやすい文章」というのを追求していきたいです。上を見るとキリがないけれど、素晴らしい文章に触れたりするとやっぱりこういうやる気もどんどんみなぎるよね…!
ではまた。