もうだいぶ前の話になってしまうけど、長らくお付き合いをさせていただいておりました「キングダムハーツシリーズ」がとりあえず完結を見たということで、なんか色々振り返ってみたいと思います。
考察ってほどのもんでもないけどそれっぽいことも書いてます。
※一応ですがネタバレ注意報出しておきます。未プレイの方はお気をつけて。
「あーうんうん、そうだよね~」
とか
「いや、それは違うっしょ。こいつ頭おかしいんじゃねーの?」
とか思いながら読んでいただけるととっても嬉しいです。
出会いは10年前
初めてキングダムハーツと出会ったのはたぶんちょうど10年前くらいかな?
当時でもそれなりに知名度があってみんな知っているような感じだったけど、僕は名前を聞いたことがあるくらいで全然知りませんでした。1が発売したのが2002年の3月なので、この時点でももう10年弱は経っていたことになるのだけど。
深夜にトラヴァースタウンで寝落ちしてあの音楽がずっと聞こえたりしていたのがもうそんな前…。感慨深い。
もともとディズニーにもあんまり興味がない感じだったので「なんでドナルドとグーフィーがいるんだろう?」とかずっと思ったりしてましたが、まあ今考えると世界のディズニーとこれだけ親密にタッグを組んだゲームってやべぇなって思います。ワールドワイドスケールで人気が出ているのも頷ける。
1の完成度はやっぱりファンの間からも評価が高いのがよく分かります。というか後の作品をプレイすればするほどそう感じるのは仕方ない気さえします。
ここだけできれいにまとまっている(ように見える)感がたしかにあって、ソラもまだロクサスの件でプレイヤーに嫌われておらず、カイリの「お前だれ?」っていう空気感もないままちゃんとヒロインの役割を果たせています。
アンセムのボス感もすごいちょうど良かったよね。
ただ、僕はXⅢ機関がすごく好きだしゼアノートも好きだったのでやっぱりこの先は見たかったなと思います。いや、若本さんの声を聞きたいだけ…?(錯覚
あとになって分かることだけど、1の初っ端からちゃんと伏線が張られているのはしびれました。代表的なのはデスティニーアイランドに現れた茶ローブゼアノートでしょうが、それらをはじめ実は色んな所に後付け感を感じさせない諸々が用意されていました。
ロクサスを好きになり、ソラがなんか嫌になる
全員が通る道でしょう。笑
(ちなみに3のソラのバカさ加減を見てさらに増幅された。あんなに主人公補正が強いキャラが他にあっただろうか…)
キングダムハーツの頂点は2という風潮があるのは仕方ないでしょう。
普通にひとつのゲームとして見たときのアイデアとしても、「いきなり知らないやつを一週間も操作させられたんだけど、それが実はソラに繋がっていた」なんてとっても素敵だなと思います。少し前までは1ミリも知らなかったはずのロクサスへ気付けばめちゃめちゃ感情移入しているんだもん。誰しもが「夏休み」は終わって欲しくないと思ったはず。
それはさておき、とにかく最初の一週間が秀逸です。
ゲームであそこまで綺麗な夕焼けを見たことは他にないし、あの哀愁漂うBGMはもう筆舌に尽くしがたいレベルです。キンハーの思い出はほぼ全てここにあると言ってもいいくらいです、個人的には。
これももちろん2の原曲が一番気に入っていますが、下村さんご自身のピアノアレンジアルバムも超良いです。
ピアノ、合うな…。ちなみにこのアルバムのジャケット自体も夕焼けがモチーフになっていて言うことなしです。
トワイライトタウンまわりというかロクサス近辺というか、この辺りはすごく切なくて感情を揺さぶってくる描写が多くて、やっぱりキンハーの中でもファンが多いだろうなってすごく共感できます。みなさんもロクサスとかシオン系、お好きでしょ?
358/2 Daysは原作を一度やったきりなんでほとんど記憶がないんですが、ただただ移動の十字キーをぐりぐりする親指が痛かった思い出しかない。でも最後ロクサスが二刀流になるとこはかっこよかったな…。存在しなかった世界でのリク戦周辺は僕の中でも指折りのイベントなんだけど、1のシークレットムービーなど、その辺を再現して戦えるのは超ナイスでした。
COM(チェインオブメモリーズ)は「カードが普通に難しいし人を選ぶ」という話を聞いていたので、ちょっとやって諦めてすぐにプレイを断念しました。結局あらすじは小説を読んで理解して、そのあとに2を始めた記憶があります。
本編あらすじに関わるものでゲーム自体をやっていないのはたぶんCOMだけなはず。コーデッド系はさすがにいいよね…?
ところで、初めて2を起動したときのことは今でも忘れません。
あの美しい音楽にうっとり聞き惚れ、ボタンを押すのが憚られるどころかそのままゲームを進めることすら躊躇われてしまって、思わずコントローラーを置きました。口をあんぐりと開けたままそのタイトル画面を見つめ続け、たしか20分くらいそうしていたと思います。
それくらい僕にとって2のタイトルテーマは衝撃的でした。
メインテーマ曲とも言えるあの「Dearly Beloved」ですが、公式でも死ぬほどの曲数のアレンジがある中でやっぱり一番好きなのはあの2オリジナルバージョンです。
2.5でリアレンジされたDealy Belovedも良かったけど、やっぱりこの思い出補正には敵わないんだよなー。
ちなみに「僕がタイトル画面でコントローラーを置いてしまったゲーム」というのがもう1つだけあるんですが、それがこれ。
これも下村さんでした。
こっちは「シンプルでなにもUIがない画面で、かつ後ろの情景が壮大に変化していく」っていうもうこれだけで素晴らしい作品のようなクオリティで、僕はこの画面だけを見てこのゲームの購入を即決しました。そしてその判断は間違っていなかった…。
下村さんのことを書き始めると別の記事がもう1つ出来上がってしまうくらいになっちゃうのでこれくらいで抑えます。ちなみに彼女を初めて意識するようになった出会いがキンハーでした(実際にはマリオRPGでもっと先に触れ合っているんだけど)。
ストーリーが大変ややこしくなり始める
2の時点でも大概だったけど、バースバイスリープあたりから相当難しくなっていきます。時系列を並べるのも大変なのに登場人物も一挙に増えていくので、それぞれの時代での立ち位置をちゃんと覚えていないともうわけわかめです。
トドメを刺したのが3DS。なんとなく予感はしてましたがついに時間移動の話が出てきてしまい、ここで一気にストーリーを追う人たちが減ったように感じました。
とりあえずいつもの貼っときます。
※クリック/タップで拡大
初出のタイミングは忘れましたが、ファンの間でこんな画像が作られて解説されるほど複雑さは増してました。まあ今見るとこれだいぶ合ってるし、そもそもちゃんとストーリーを追っていれば「考察」まで行かなくともこのレベルの「情報整理」で一応理解はできる程度だったのかも。する気が起きるかは別として。
実はこれまで僕らが追ってきたストーリーは全てゼアノートの企みによるもので、それはキングダムハーツやキーブレードを巡った物語の1つに過ぎない、というのが現時点での大枠です。
でも。
最初はたった1つの島と3人の少年たちっていう小さなスケールで描かれていた物語だったのに、10年20年かけて広げた風呂敷の最後の一折りは「実はそれもゼアノートっていうただの一人のおっさんの話だったんだぜ」って言われると、「…はい?」ってなっちゃうんだよね。これはたぶん多くの人が思っている感想であると同時に、3発売後の空気がなんか微妙だった原因であるとも思っています。ここはまた後述します。
結局「キングダムハーツ」というゲームはなんだったのか?
まあたぶん誰もよく分かってないと思います(白目
でもそんなのどうだっていいんじゃないかと今では思ってます。多くの人がプレイして、感動して、色んな形の思い出として心に残っているのならそれはゲームとして唯一無二の姿だと思うからです。
だけど、です。
とにかくシリーズの始まりから終わりまで長い時間がかかっているので、「プレイし始めた当時は子供だったけど今ではもう大人」っていうパターンが8割以上でしょう。シリーズ作品多すぎて今から全部手を出そうって人は少ないだろうしね…。
そうなると、どうしても思い出補正やら捉え方の違いやゲームに対しての考え方の違いみたいなものは年齢差によって生まれてきます。それは僕自身一番感じているんだけど、それがとにかく悲しくて仕方ないなって今回思ったんです。
3を終えた後の僕がなんとなく「最高だった!!」みたいに思っていなさそうなのは分かっていただけているかと思うんですが、それも「もしこのシリーズ全体を子供のうちにプレイできていたらもっと素敵な記憶になったのかな…」と思うとどうしても寂しくて。
「終わりよければ全てよし」なんていう言葉がありますが、皮肉なことに今回はその逆を行ってしまっている気がしていました。でもしょうがないんですよね。分かってます。僕らは時が経つにつれて色んなものが変わっていくし、それに合わせて遊ぶゲームだって変わっていくはずです。それを「昔はこうだったのに、最近の◯◯シリーズは…」って言うのはやっぱりなんかズレてるなって思うんです。
…でも、だからこそ、だからこそ今回は無性に虚しかった!!!
ただまあ、そう感じるのは一番最後にプレイしたのが「回収おまとめ回」だったからというのは大いにあるはずです。
一応色んなものについて一通り解決を見せて最後は大団円っぽくきれいにまとめる、というのをやる以上、ここまでキングダムハーツシリーズが見せてきたユーザーを引き込むようなストーリーをここでもう一度期待するというのは少し辻褄が合いません。いや、むしろ最低限のまとめをやってくれてよかったでしょう。これ以上何かを残して終えられたらそれこそいつまでプレイし続けなきゃいけないのか…。
3はプレイしてからまだそこまで時間が空いてないのでちょっと書いてみます。
3の考察と今後
3が発売されるまでに実は色んなものが色んな動きをしていました。熱心なファンじゃないと追えないような内容ばかりだったわけですが、それを知っていないとなにがなんだか全然意味不明ってことになりかねないというトラップでした。
キングダムハーツ3が発売されるまでで最後の本編シリーズ3DS以降発売されたものだけで
- キングダム ハーツ HD 1.5 リミックス
キングダム ハーツ ファイナル ミックス
キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ
キングダム ハーツ 358/2 Days (映像作品) - キングダム ハーツ HD 2.5 リミックス
キングダム ハーツII ファイナル ミックス
キングダム ハーツ バース バイ スリープ ファイナル ミックス
キングダム ハーツ Re:コーデッド (映像作品) - キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ
キングダム ハーツ ドリーム ドロップ ディスタンス HD
キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-
キングダム ハーツ キー バックカバー (映像作品) - (キングダム ハーツ HD 1.5+2.5 リミックス)
こんなにあります。
さらにPCゲーム、スマホゲームとして
- キングダム ハーツ キー(ブラウザゲーム)
- キングダム ハーツ アンチェインド キー(iOS/Android)
キングダム ハーツ ユニオン クロス(2017年3月23日アップデートにより改題)
なんていう風になっていて、単なるリメイクとかかと思うと新しいムービーがひょっこり追加されていたり今まで解禁されていなかった情報が地味に含まれていたりとかそういうのだらけでした。
商法的にも色々問題視されていたのは僕が言及するべきことではないので置いておくとして、その中でも一番触れ合う人数が少ないであろう2.8とブラウザゲーに、3で最も大切だと思われた核となる部分がストーリーとして含まれているのはいかがなものかと思わざるを得ませんでした。
僕は未プレイの小数点系の作品は一通りYouTubeで済ませていたんですが、まさかソシャゲ系で核心的な部分に触れているとは夢にも思わなかったわけですよ。ルシュとアヴァのキーブレード戦争のくだりをはじめ、シークレットレポートでのスクルドの件など、その内容はかなり深いです。マールーシャやラクシーヌとかについてはまあサブイベってことでも納得はできるけど…。
3を最後までプレイして仮面の人物たち(ジャイアンとその仲間たち)がいきなり現れてびっくらこいた人も多いと思います。
ちなみにYouTubeにフルで上がってるのでちゃんと見たことない人はこの機会にでもぜひどうぞ。
とまあそういうこともあり、3をプレイする前からかなり嫌な予感はしていました。
3の発売直前にあんな映画レベルの映像作品を出したり(FF15オマージュ?)どう考えても1作品だけで今後終わらす気はなさそうに思えたから。しかもなんかすっげえ杉田みたいなキャラいたし…。っていうか杉田。
というわけで僕は、「今後キングダムハーツという名前のシリーズは一旦終わるけど、これ以降も似たような作品は続けるわ、じゃあな!」みたいなメッセージだと解釈しました。
その登場人物をちょっと匂わせるためにヨゾラが出てきたりしているのかなと。でも「カイリを追ったソラをリクも追う」っていうところまではかなり明確になっているからこの3人は引き続き出るとも思います。
強いて気になるところがあるとすればシグバールの存在。
彼だけはキングダムハーツシリーズの中でかなり独特のポジションにいた状態です。
「僕らがこれまでにプレイしてきた全ての物語は単なる一部に過ぎなかった」という描写である「バックカバー」の諸々も、完全な後出しかと思えばどうやらシグバールだけは最初から絡んでいたわけでそうでもない様子。
3プレイ後に唯一気になって熱心に調べたのがシグバールについてで、ここをほじくり返すと結構面白い事実にいくつも気付けます。各作品のシークレットレポートもしっかり踏襲した上でシグバール(もしくはブライグ)が出てくるイベントを全て見返すと「うわ、これってこういうことじゃん…!!」みたいのはかなりありました。
特にRe:codedのシークレットムービー(2.5)を見るとシグバールがルシュに対する使命を確かに意識しているであろうことが確信できます。青年ゼアノートがいきなりキーブレードの話をするときのブライグの反応によく注目してみてください。
「キーブレード戦争もそこに繫がるってハナシか」は超キー。キーブレードだけに。
※ちなみに「バックカバーの諸々」が後付けかどうかは完全には肯定/否定はできないです。シグバールの存在はあるとはいえルシュという設定自体はあとからいつでもどうこうできる可能性があったからです。たしかにシリーズ前半からシグバールというキャラを用意していたにしろ、それにあとから「好きな設定をかぶらせる」ことはわりと自由にできたはずです。ルシュがフードをかぶっていたように…。
XⅢ機関の目的は建前上でもコロコロ変わる上、実際の目的もよく分からないままストーリーが進んでいくので結局「ソラ達と反対サイドの人々はなにがしたいの?」というのがこのゲームを難しくしているポイントです。
簡単にまとめると、
- 杉田は世界平和のために予知書を作りたい
- そのために「未来を見る目」となるキーブレード「ノーネーム」を後世に伝え続けたい
- その使命を受けたルシュはキーブレードマスターを代々世襲させ、弟子から弟子へと届け続けたい
- その中で「闇に傾倒したキーブレードマスター」を観察する必要があった、光と闇の衝突を起こさせる必要があった
↑そのために画策した諸々が僕らがプレイしてきた歴史
みたいな感じだと思ってます。
ただし今は杉田はもっともっと広い視点、つまりはメタ的な視点にいるのではないかという気がしていて、例えばキングダムハーツ内の世界はゲームの世界を暗示していてマスターオブマスターである彼はゲームの管理者(野村さん?)である、とか…。ないか。
ムービーを見返したりすると細かい疑問は色々あると思いますが、色んな考察材料が揃っていれば実はほぼほぼ分析できます。僕もネットの力を借りてとりあえずスッキリするくらいにはなれました。
とまあそんなわけで、今後は「シグバール」という観測者を"繋ぎ"にしながらキングダムハーツではない新しい物語が展開されていくのではと思っています。もっと品のない言い方をすれば「別名でまたシリーズ展開するよ~」って感じでしょうか。例の黒い箱はなんか当たり障りのないふわっとした「概念的な何か」くらいなんじゃないかと思うようにしてます。…だって気になるもんw
杉田も気になるは気になるんだけど、規格外に広げすぎた脚本の向かう先はあんまり良い結果を持たないっていうのを経験的に知っているので、正直あまり期待していないです…。そういうのも含めて、今回でこのシリーズは僕としては一回区切りです。
ゲームとして楽しければまだやる気も起きるんだけど、3も正直消化している感が常に拭えなくて残念でした。ここは前半で書いた「寂しい話」のことです。こんなゲームだったかなあ…?
ここまで長い期間をかけてストーリーを追い続けたゲームは今のところ他にないので、個人的にはやっぱりかなり歴史的な作品です。今まで本当に多くの人が関わったことでしょう、ここまで本当にお疲れ様でございました。
おわりに
全作品に対しての感想やら考察やらなんてのはとても1つの記事にまとめきれないので最初から予定していなかったですが、それはそれで書き始めると「それぞれの話題をどの深さまで書いていくか」が難しく、なんともピンとこないエントリーになっちゃったかもです。にも関わらず読んでくださった方、ありがとうございます。
もちろん1作品ごとにゲームとしての性質も全然違うし、それに伴う感想や感動具合もかなり多岐に渡ります。でもそれを1つずつ詳しく書くのはなんか違うなって思ったんです。…いや、書くモチベーションが生まれなかった、の方が近いのかな。
記事中でも何度か触れた"最近の微妙な空気"のせいなどもあって、昔は心から楽しんでやっていたゲームのはずなのに今ではどこか残念に思う自分が居て、それがなんとも悲しかったんですね。
まあそんな悲観的なことを言いたいために書いた記事ではないので、ちょっとネガティブな印象を与えてしまっていたらごめんなさい。紛れもなく僕の人生の中で存在感を放つゲームであることに変わりはないので、今回このブログで一旦区切りを付けられたことは嬉しく思います。
なんか文字は多いくせにあんまり中身のない記事でしたが、今回はこんなもんで勘弁してください。
ではまた。