カービィの音楽とまたたくさん関わる機会があって、「そういえば、カービィってどういうゲームだったんだっけ?」と、ふと原点に戻るというか改めて考えてみたわけ。そうしたら、この制作路線はいつまで続くのかな、いや保つのかなと少し不安になったので自分の考えを整理するがてら記事にしてみる。
不安になったっていうのは、カービィシリーズ自体にファンとして不満を感じているわけじゃなくて、どっちかっていうと制作者目線での親のような気持ちに近いかも。まあ、どういうことかっていうのをこれから書いていきますよん。
最近のカービィ作品
まずね、最近のカービィを見ていると、「過去作を尊重している姿勢」がすごく伺える。最近ってのは、カービィWii以降くらいかな。このあとに発売したのって、トリデラ、スーパーレインボー、ロボボプラネットだよね。スペシャルコレクションは除いておこう。
この3つは当然全部遊んだ。
どれもこれもおもしろくて、カービィの新作を遊ぶのは毎回楽しみだ。実はカービィWiiは初めて遊んだのが2年前くらいで、残りの3つも全てそのあとなので新しいカービィはわりとまとめて最近遊んだことになるのよね。だから僕の頭の中では「最近のカービィ」ってな感じでまとめて整理されている。で、この「最近のカービィ」を遊ぶ度に「前進しよう」という印象をどんどん感じられなくなっているな、と気付いた。
さっき言った「過去作を尊重している姿勢」って、悪く言うと「過去に縛られている」というようなニュアンスにも置き換えれると思うんだよね。
カービィシリーズをそこまで悪く言うつもりもないし、この記事はそのマイナスの部分を伝えたいものじゃなくてむしろ逆ってことは前提としたうえで、言う。
じゃあカービィで新しいことやってみよう、ってなったらどういうことになるかをよく考えるんだけど、絶対にやってほしくない。ここでいう新しいことっていうのは、今回はなんでも吸い込めるカービィを用意しようとか、今回はかっこいいロボットに乗れるようにしようとか、そうじゃない。今までとゲームの性格自体が変わってしまうような変化はいらないと思っている、という話だ。
きっとカービィのファンは、毎回それなりに新しいギミックにさわれて、工夫された謎解きと向かい合って、新しいカービィサウンドを聴ければ「ああ、やっぱりカービィはいいな」ってなるんじゃなかろうか。僕だけかなあ。
そもそも、カービィファンって層を特定するの難しい気もする。明らかに難易度は下がってて、低年齢層と新規の獲得を狙っているように見える。でも、「お、またカービィ新作出るのか!絶対買おう!」ってなる人は結構年齢は上の人なのではないかと思うのだ。プラス、純粋に任天堂(カービィは厳密には違うけど)のゲームが好きな人でね。
ってなると、その「新しい変革」を起こしてしまうと今までずっとカービィを楽しんでやってきた人たちは「なんだこれ?」ってなっちゃわないか心配なのだ。なにもカービィに限った話ではないどころか全てのシリーズ作品にいえることだし、散々言われていることをまた言っているだけなのだけれど…。
だけど特にカービィという話の中では、この「シリーズを続けていくのにネタ切れさせない」のが難しく、それの対策のようなものであった今までの手法からの過渡期に近づいているのではと僕は考えているのだ。
過渡期
なんの話かというと、さっき言った「毎回それなりに新しくてクオリティの高いものにさわれれば、カービィというブランドに満足する」という話だ。
今まではかなりこの方法の印象が強かった。少なくとも僕の中では。
でもこの方法で繋いでいくのはもう限界なんじゃないかっていうのが、過渡期といえるかなあってこと。すごく不安定な状況で、後ろにも戻れないし先に進むのもためらわれる。新作を出せば出すほど足下はぐらついていくような状況になっているように、僕には見える。
この意見に少しでも頷いて頂ける方は、どんなときにそう思うだろう。あ、念を押して言っておくけど、この記事は否定や批判みたいな負の要素を持ったものではなくて、むしろ書いている人はカービィ大好きなので、そう思わない方も「そんな風に感じている人もいるんだなあ」くらいで読んでいただけたらと思います。
話戻すと、僕が一番それを感じるのはやっぱりサントラを聴いたときなんだよね。
カービィの音楽
過去作のアレンジ、最近ものすごく多いでしょう?
サントラとかカービィアレンジ系のアルバムなんてボーナストラックみたいなノリでバンバン入ってますw
最近出たカービィカフェのサントラもそういう感じですねー。まあこれはCDが生まれた趣旨として当然といえば当然なんですが、必要がなければここまでやらないだろうってこともあって、やっぱり過去のサントラをアレンジするのは好きみたいですね。HAL研自身がやってますし。
でも、良い曲多いので絶対聴いた方がいいと思いますこれは。安いし。
ロボボプラネットのサントラはまだ買ってないからはやく買わないとな…
でね、そのアレンジが多いっていうのはつまり、新曲が生まれる割合も少ないし(もちろん分母が変わらなければの話)、なにより「新しい音楽の印象がどんどん薄くなっていってしまう」と思っている。
たしかに作品毎にテーマになるフレーズは必ずあって、それはだいたいタイトルで流れて、ボス戦でアレンジされてスタッフロールでもまた聴けて…ってな感じで僕のすごいLoveなタイプなんだけど。うーん、いかんせん印象に残らない。ましてや、それ以外の単品の曲(ふつうのステージのBGMとか)なんてほとんど記憶に残らない。いや、それは言いすぎだな。ごめんなさい。カービィのサントラってだけでレベルが高いのは間違いないとは思っている。。
こうなってしまう原因のひとつに、「ゼルダとかみたいなシリーズ共通のこれ!っていうテーマがない」ことが挙げられると思う。こう言われてたぶん多くの人が思い浮かべるのは、グリーングリーンズだったり、初代のタイトルテーマだったり、グルメレースか夢の泉かそんな感じだと思う。
でもこれって結局シリーズを統べるフレーズにはなりきれていない。だいたいが、初登場時にはふつうのBGMとして流れたけどあとでたくさん使うようになったからアレンジが増えていった、みたいな感じしません?すっごくもったいないと思っている。でも、今からじゃどうしようもできないよねっていう話で、過渡期という言葉に戻ってくる。
いまさら路線を変えることができないのだ。過去のものに頼れば頼るほど抜けられなくなっていく。たばこみたいだ。
でも実際、僕自身はちょっと前までかなり喜んでいた。ゲーム音楽がさらにアレンジされたものって僕にとっては大好物で、それが原作者のセルフアレンジともなれば目が飛び出るほど嬉しかったのだ。次はどんなアレンジが聴けるんだろう、ととてもわくわくする。しかも人気があったものをちゃんと選んでくれてる辺りがすごくいい。スカイタワーとかさ。タチカビWiiUなんてゲームじゃなくてサントラでよかっ(ry
じゃあゲーム全体で見てみるとどうか
とはいっても、これで新作を出し続けていっていつまでファンが離れないでいてくれるかな、となる。なぜ僕が販売者目線なのかは謎。
音楽だけで見ると上で言ったとおりなんだけど、実はゲームとしてだけで見るとそんなに大した問題じゃない。と思っている。
だってまわりのシリーズものを見てみると、同じような状況のものはいくつもある。マリオだってそうでしょう。基本的な根幹は変わっていない。まあわりと新しいこと盛り込んでる方だとは思うけど。
これはやっぱりブランドバリューの強さがあるからなせることなんだよね。この記事を書いている2017/1/27現在は、ちょっと前にマリオオデッセイが発表されて話題になっている時期なんだけど、まさにあれもそうだと思う。マリオ3D自体はそんなに数も多くないし、カービィに比べたら大作かもしれないけどね。
カービィもブランドバリューという意味では絶対の自信を持っていいのは間違いない。でもひとつだけ不安があるとするなら、「カービィはもともとどういう趣旨のゲームかイマイチ理解されていない」のでは、ということ。
桜井さんが一番最初のカービィを作るときに「簡単に死なないように浮けるようにした。そこから敵を吸い込むという発想になった」と考えた話から察するに、まずはゲームに触れてもらう人を増やしたいっていう願いがあったんじゃないかと思う。で、その願いは確実に成就されたと思う。ゲーム人口と層の拡大は岩田さん時代からの任天堂の目標でもあったし。
あれ、じゃあ今カービィはなにを望んで作るべきなんだろう?ってならないかな。その時獲得できたファンはもう結構な年齢だし、でも今から獲得したいファン(=子供)は幼いわけだ。この間口の広さはゲームを作る趣旨を考えると非常にやっかいだと思う。さっきカービィはもともとどういう趣旨のゲームかイマイチ理解されていないのでは、と言ったけど、作る方も分からなくなってきたりはしないんだろうか。完全に僕の推測だけど。
だから、なんとなく今までの作ってきたようなものをクオリティを上げて出していけば…みたいな惰性がないか心配になる。いや、そんなものがないことは分かってるんですよ。毎度毎度期待を越えるクオリティとゲーム的な楽しさを確かに提供してくれているし、僕は数あるゲームの中でもカービィシリーズは特に愛している方です、今でも。
なんていうか、理論上の話っていうか、そういう感じ。
追記 (2018/8/26) :スターアライズも最後まで遊びましたが、正直予想以上に自分の考えが悪い方向で当たってしまったなという感想です。なんと悲しいことか、次からは買わなくてもいいかもな…とさえ思ってしまいました。自分でもどうすればいいのかもう処理ができなくなってしまいました…。
まとめ
好きなもののはずなのにネガティブなことばっかり書くのは気分悪いし、そろそろまとめたい。
まず具体的にずっと僕が思っていたことのひとつとして、エアライドみたいなちょっと別タイプの外伝ゲームを1本出せばいいのではってのがある。かつ、複数人で遊べるやつ。
散々言ってきた「ブランド」というものがあるうえ、カービィの音楽ファンはたくさんいるから「カービィのサントラ聴けて友達とも遊べるなら買ってみよ」ってなって売上は心配ないだろうし、なによりさっき言った「最初にファンになってもらえたけど途中で去って行った人」が振り向いてくれる可能性がある。
もちろん、このあと本シリーズでなにをやればいいかの状況は変わっていない。でもファン層が以前より増えたら、今度こそしっかり方針を据え置こうというような気持ちにならないかな。背水の陣みたいな。僕としては、夢の泉の背景にまぎれた隠し扉とか、スパデラの宝箱探しみたいな「攻略本とか見ない範囲で自力で楽しめるぎりぎりの作り込み」をずーっと期待しているのだ。これは難易度という側面ももちろんだけど、ゲームの性格であるといってもいい。
あとやっぱり最後に言っておきたいのは、上でも話したけど新規で人気のある曲をこれからもたくさん作っていってほしい。カービィ音楽の持つ力は絶大なので、きっとみんな聴いてくれるはずだ。メインテーマはなんとなく決めちゃって、過去作アレンジはほんとに裏ステージでしか聞けないとかそういう感じにしていけば?(適当
いつものごとく結論が出ないまま終わってしまうが、ここまで読んでなにか感じて頂ける方がいたら幸いです。
みなさんのご意見も聞きたいなーなんて思います。
それでは。
その意見をハル研究所かニンテンドーなどに電話かもしくはメールか手紙で送ってみてはいいのでは
コメントありがとうございます。
そうですね、投書としてこの文書を扱うのもありかもしれません!
でもまあ、所詮は僕のつぶやき程度のものだと思っておりますので、こうやってどなたかから反応をいただけるだけでも十分嬉しく思います。笑
名前は記入しませんでした。
みるみさんはHAL研を信じていないのだからカービィファンではないと思います。
新しい音楽の印象が薄いと仰っていますが、それはあなたがフィールド音楽にあまり興味がないからでは?
ロボプラをやっていても、サブゲーム楽しい!とか思わなかったんでしょうね…残念
コメントありがとうございます。
>HAL研を信じていないのだからカービィファンではない
これは同意しかねますね。
ファンは皆その対象を永遠に信じていないといけないのでしょうか。理由や根拠もなしに「ファンだから」というだけでファンを続けるのは矛盾していますし、理解もできません。
コンテンツが好きで好きでたまらないからファンになる、それが自分にとって途絶えかけているのが残念です…という趣旨の記事なんですが、そこはご理解いただけているのでしょうか。
あるコンテンツに色々な感想が持たれることなど重々承知です。一言も「今のカービィは酷い」などのような絶対的評価は書いていないはずです。「僕はそう感じました」という主張に対してなら、そのコメントの文章ももう少し違った表現になると思うんですよね。たしかに自分が好きなものを好きじゃないと言っている人へはそういう気持ちになってしまうのも分かる気はしますが…。
グリーングリーンズがカービィのメインテーマじゃないってのは正直疑問です…
例に挙げてるゼルダのテーマだって、最初はなんてことのない地上フィールドの曲だったし、今までのテーマとしての発展の仕方も一緒だったと思います
新規の曲が印象に残らないというのも極めて主観的でしょう
例えば最新作のスタアラ。フレンズスターのテーマをラストバトルでアレンジして持ってきたのに対して、自分は凄いカタルシスを感じたし、そう感じたであろう他の人含めた層を足蹴にしてもらいたくないです
あとネイキッドナチュレとかも印象に残ってますし
ゲーム的にはスパデラ路線からそろそろ脱却してほしいというのは同感です
だけどスタアラに関しては熊崎さんが「カービィの集大成+GC時代に出来なかったことをやる」ものとして作っているから、新機軸は次回作以降になるんじゃないかな?
今月のニンドリのインタビューで新しいシステムでカービィを作ることも考えている、みたいなことを言ってたし、期待できると思いますよ
コメントありがとうございます。ご意見頂戴し本当に嬉しく思います。
「ゼルダのテーマがもともと地上のBGM」という件、おお、そうでした…。その辺は勝手に一人で盛り上がって冷静さを欠いていました、申し訳ありません…。(ちなみに僕は神トラのテーマ曲が「バーン」としててメインのイメージが強いです。現在公称のメインテーマはハイラル平原のものですが、moon_kさんもそれのことをおっしゃっていますよね?)
でもゲーム内での役割的な意味での違いというのはやはりあると思っています。
グリーングリーンズはあくまで挿入曲などサントラとしてそのまま使われる性格が強くはないでしょうか。たとえばトリデラのコース選択画面のように。ただしエンディングの終盤とかに「いつものあのフレーズ」が入ってくるのをグリーングリーンズとするなら、「まあたしかに」という感じはありますね。
「主観的」とのご意見、謹んでお受けいたします。
特にスターアライズでは僕はほとんど今までの「カービィというブランド」を楽しめなかったと感じていますので、そのように感じておられる方いらっしゃることは、自分のことは一度置いておくとすると大変うれしく思います。
間違いなく言っておきたいのは、「決して他の方を足蹴にしよう」などというつもりは毛頭ございません。記事中でも何度も言っていますが、あくまで僕はカービィを好きな側の人間で、これは僕の一意見に過ぎないものです。
熊崎さんのセリフは僕も気に留めていました!
次の「新しいシステム」とやらも楽しみですね~。
この度はご意見ありがとうございました。
この記事にはすごく共感しました…。正直これからのカービィはどうなってしまうのか、心配ですね…。
新作のスターアライズ、何だかやりたいと思えなくなってしまいました…。何かとても残念な気持ちです。
悪い意味でカービィらしくないなと思います。
ありがとうございます。
この記事は随分昔に書いたものなので色々荒削りだと思うんですが、共感いただけて嬉しいです。
以降実際にカービィは遊んでいないですし、もう僕は完全に卒業してしまった感を感じます…。