【明晰夢とは?】明晰夢を見る方法と訓練の仕方、夢の中でできること

【明晰夢とは?】明晰夢を見る方法と訓練の仕方、夢の中でできること
みるみ

「明晰夢」っていうものがある。
…のだけど、この記事に辿り着いている方には説明は不要だ思うので、その辺の導入は今回は割愛します。

今回はどうやったら意図的に明晰夢が見られるようになるかを、僕の体験談をベースにして紹介していくという趣旨です。

今回は概要含め、「広く全体的な心構え」みたいなニュアンスでの説明ゆえ、具体的なテクニックとかは以下のような記事でそれぞれ説明しています。

そして「体外離脱」の足がかりも目指しちゃおうってな目的もはらみますが、詳しくは別記事で詳しく話しているので今回はあまり話さない予定。

気になる人は以下の記事へ。この2つの記事は密接に絡み合っています

明晰夢とは:覚醒度の高い夢

割愛するよと言いながらも、ここをしゃべっておかないとどうにも話を進めづらいので軽く書きますw

定義

まあ定義かと言われると怪しいですが、明晰夢とは「自分の意識が夢を"これは夢だ"と自覚できる夢」のことです。

要は「これ、夢だ!!」ってなるあれです。

これを自覚した瞬間からそれを「明晰夢」であるとし、この状態に自力で向かえるようになることが今回の目的です。

いくつか明晰夢に関する論文を見てみましょう。
(訳は僕オリジナルです)

The occurrence of lucid dreaming (dreaming while being conscious that one is dreaming) has been verified for 5 selected subjects who signaled that they knew they were dreaming while continuing to dream during unequivocal REM sleep. The ability of proficient lucid dreamers to signal in this manner makes possible a new approach to dream research.

5人の被験者に眠ってもらうとある実験において、意識の鮮明な状態、つまりレム睡眠中に明晰夢の発生が確認されている。このように明晰夢を見るための熟練した技術を持つ人間は、夢の研究に新しいアプローチを提供してくれる。

Lucid Dreaming Verified by Volitional Communication during Rem Sleep / Stephen P. La Berge, Lynn E. Nagel, William C. Dement, more... / June 1, 1981

Reports of lucid dreaming (dreaming while being conscious that one is dreaming) were verified for 13 selected subjects who signaled by means of voluntary eye-movements that they knew they were dreaming while continuing to dream during unequivocal REM sleep.

「顕著なレム睡眠中で夢を見続ける」その最中で自発的な眼球運動(Rapid Eye Movement:REM睡眠のこと)が観測され、13人の被験者で実際に明晰夢を見ていた報告が確認された。

Lucid Dreaming: Physiological Correlates of Consciousness during REM Sleep / Stephen LaBerge, Lynne Levitan and William C. Dement The Journal of Mind and Behavior / Spring and Summer, 1986, pp. 251-258

上の2つの論文にも実は記述があるのだけど、明晰夢に変わったタイミングで脳はある信号を出しているそうで、それを電気的にキャッチして「明晰夢を見ている状態」を外から観察しているようです。

2つめの論文の「眼球運動」というワードもかなりポイントなのだけど、ここでは割愛します(というかそもそもレム睡眠って、REM睡眠→Rapid Eye Movement→急速眼球運動のこと)。

ちなみにこの「スティーヴン・ラバージ」っていう人、明晰夢の権威としてスーパー有名です。「夢見の技法」って本、どこかで耳にしたことありませんか?

で、実際には、1つめの論文にもあるとおり「意図して明晰夢というものがゼロからいきなりスタートする」わけではなく、なんとなくぼやーっと夢を見ている途中で「あっ!」となるケースが多いです(実際に記憶に残るのは明晰夢からであっても、その前には通常の夢を見ていることがほとんど)。

これには「覚醒度」というものが大きく関係してきます。

覚醒度とは

覚醒度とは、脳がどれだけ強く意識を持っているかの度合いだと理解すると分かりやすい。

例えば「金縛り」という現象は「脳が起きていて身体は眠っている状態」であると考えられているけれど、これはつまり脳の覚醒度は高い状態であるという意味。

それに対して、通常の夢を見ているような状態はお察しの通り脳の覚醒度は低い状態です。ちなみにノンレム睡眠と呼ばれる夢すら見ないような本当に深い睡眠のときは、実際に脳も眠っている状態なのでおそらく覚醒度という意味では最も低い状態であると思われる。

で、明晰夢を見るような状態はどうなのかというと、通常の夢を見ているときよりは高く、金縛りよりは低いくらいだと言われている。

厳密に言うと体外離脱中よりは低いと言った方が正しいように僕は思っているけれど、この辺の「明晰夢と体外離脱の区別」の話は炎上しやすい議論なのであまり触れたくはないっていうのも含めて、今回は脱線が大きくなるのでまたもや割愛します。

というわけで、

  • 明晰夢を見たいなら普通に眠って夢を見始めてから覚醒度を上げていくか
  • うたた寝くらいの覚醒度が高い状態から少し下げていくか

の2通りになりそうということになってきます。

明晰夢を見られるようにするための訓練方法

さて、長くなったけど、以下今までに僕が試してきた明晰夢を見るための訓練方法を紹介してみたいと思います。

が、「明晰夢を見る」っていうことのイメージは、「このタイミングでこれをすると見られることが多い!」っていう感じじゃなくて「普段からこういう意識をしていると見やすくなるし、なんか分からないけどコントロールできるようになってくる」っていう感じです。

そんなわけで、前段の覚醒度の話もそこまで意識する必要はなくて、あくまでも理論上の話って思っておくくらいでいいと思います。

金縛りになるのはかなり意図的で能動的な方法がいっぱいあるんだけど(なんじゃそりゃって人、これも冒頭の体外離脱に関わる話なのでお気になさらず)。

夢日記をつける

dream-diary

まず言われる方法がこの「夢日記」です。

起きたらすぐに、なにかをするより一番先に紙にペンで夢の内容を記入するというもの。スマホを使うのは一切推奨しません(電気製品の画面を見ることによって交感神経が優位になってしまうし、色々な情報を一度に目にしてしまうのでその刺激によって脳が完全に覚醒してしまうから)。

記入内容は、単語だけ、文章、箇条書き、イラスト、なんでもいいです。とにかく少しでも夢の内容を思い出そうとする作業自体が大事。

文章で書くときは、過去形ではなく「~たかしくんとハワイでカーチェイスをしている」などのように現在進行形で書くようにすると良い。実際に自分がその状況に身を置いている気になれて、より思い出しやすく、かつ主観的な視点で夢を追体験できるからです。

これを継続して続けることによって夢を思い出す作業自体に脳が慣れていき、夢の中での覚醒度も上がっていく。

さらには、潜在意識として「夢を覚えておくようにしなきゃ」と思い込むことによって、夢にいる最中で「ひょっとしてこれも夢じゃね?」と気付けるきっかけが増えていく、というシナリオです。

補足:夢日記の危険性

一番最初に書いておいてなんですが、僕は夢日記をつけることはおすすめしていないです。

オカルトやスピリチュアル系は一切信じていない僕だけど、夢日記に関しては色々危険というか、そういう精神的な部分を除いてもデメリットがあるから。

なにが危ないかっていうと、夢の内容がどんどん鮮明になっていってしまう上に自意識も明確化されてしまうということは、それはそのまま嫌な夢を見ているときにも当てはまってしまう部分が怖い。

怖い夢がより鮮明になると、リアルさが上がって「恐怖感」が増加するのはもちろん、「痛み」なんかも擬似的に感じようとしてしまうので(もちろん100%同じ度合いで受けるわけではないけど、すごく"痛い気がして"不快)、最悪でしかない。

これに対する反論として「自分が見たくない夢ならすぐに終わらせられる」っていうのをよく聞くけど、半分同意、半分反対。

僕は金縛り含め「抜けたい」と思ったときにほぼ自由に抜けられるくらいになっているし、今でこそわりとリアルな通常状態の悪夢でも強制的に終了させられるようになったけど、明晰夢に近い悪夢だと自意識がはっきりしすぎていて「そこを現実世界のように」感じてしまって、夢から抜け出すのが大変になる明晰夢だと気付けていないのにリアルな段階だと最悪です。「夢だと気付けていないのでそもそも脱出しようと思うことすらできない」から。

うまく言葉では説明できないんだけど、事実明晰夢では難しく感じている。夢日記のせいで「詳細を覚えようとする暗示」が強く刷り込まれているのも加わってか、なんか妙に怖い。

僕がこういうことを考えているからかもしれないので、超プラス思考の人にはメリットしかないかもしれませんw

それを除いても、一切この明晰夢なんかの話に関して初心者な人はちょっとだけならやってみるといいかも。僕はやりすぎたってだけなので、これによって「意識レベルの向上」など恩恵があったのは事実です

リアリティチェック

hand-open

夢日記と並んで非常に効果的な手法のひとつ。こちらは単に「夢の中で夢と気付きやすくするためだけの手段」なので、単品で考えれば夢日記のような危険性はない(と思う)。僕もまだたまにやっています。

日常のふとしたとき、まわりを見渡して「ここは本当に現実世界なのか?」とマジで疑いながら自分の手のひらを見つめ問いかけ続け、そこにもう一方の手の指先(1本か2本がいい)を用意し、「手のひらに指先が突き抜けて貫通するか」をまたもやマジで疑いながらゆっくり近づけていく。

指が当たって止まったらそこではじめて「ああ、ここは現実だ」と思ってOK。それまでは絶対に「どうせ当たるし」などと思ってはいけないのです。

しかしこれが夢の中だとそうはいかない。

体外離脱中も例に漏れず、じっと見つめてゆっくり物に触れようとするとすり抜けます。つまり、いつも本気で疑っていればいざすり抜けたときに「お!本当に夢じゃん!!」ってなるのです。

実際、普段から行い続けることによって夢の中でも無意識に同じことをするようになり、そのときに夢だと気付けるようになる。

しかもこれを無意識下でやっているとはいえ、普段の動作に混じって「疑う」や「考える」作業によって脳の覚醒度もちょっと上がる(と僕は勝手に感じています)。

もちろん街なかでいきなりやり始めたら本当にヤバいやつなので気をつけるといいと思います(しょっちゅうやってた

それと、いちいち疑う演技をするのがめんどくさい場合、ただ手のひらを見つめるだけでも実は効果がある。夢の中でも手のひらを見ようとする作業までは行えるようになるので、覚醒度の向上は十分に達成できる。

これならいつでもできるし、まわりの人に変な目で見られることもありません()

ちなみに、こういった自分の「自覚」を強化していくような手法をMemory Induced Lucid Dream(記憶誘導型明晰夢)の略でMILDテクニックと呼んだりする。夢日記とかもここに入ります。

MILDテクニックについてはこちら。

明晰アンカー

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心理テクニックの一種。

ベッドに仰向けで横たわったときに自然によく見える位置にある、なにか印象的なモノをひとつ決めてそれを「アンカー」とする。それを寝る前、起きた直後、夜中に目が覚めたとき等にひたすら見続け、「夢を覚えておくように!」と自分に対して念じる。

そうすると潜在意識に「夢を覚えるように」プログラミングされ、覚醒度が下がっている状態のように自分の意識が弱いときでも無意識的に夢を覚えていられるようになるというシステム。

寝る前って眠いし、わりと意識があるときは考え事をしちゃうので僕はめんどくさくてほとんどやったことない。他の方法であまり効果がない人はやってみるといいんじゃないでしょうか!

厳密にはちょっと違うけど「アファーメーション」なんて呼んだりもする、かも。

明晰夢でできること(体外離脱との違いという観点で)

本筋からはずれるけど、ちょっとおまけ。色んな層の人から興味が向けられるといいなっていう目的のために、明晰夢が見られるようになるとどんな嬉しいことがあるか箇条書きしてみる。

体感型映画

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明晰夢は脳の覚醒度は上がっているとはいえあくまでも夢なので、ストーリーは自分で決められない代わりに見ているだけで受動的に楽しめるコンテンツ的な側面がある。僕は「体感型映画」と呼んでいる。

つまり、楽。

起きた後にそんなに疲労感が残ることもなく、かなり気楽に楽しめる。

SF的な有り得ない状況を楽しめる

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どうしても思考が現実寄りになる体外離脱中に比べ、夢としての性質が強い明晰夢ではかめはめ波とかが打てたりする可能性が高いんです。

「可能性が高い」っていうのは、上でも言ったように自分でコントロールできる量が小さいので、わりと運任せなところがあるっていう意味。さらなる上級者なら、明晰夢のまま意図したストーリーに改変できるのかも。僕はあんまりそういうことができるイメージが湧かないです。

「自分自身」じゃないキャラで楽しめるときがある

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これも上の有り得ない体験をできるっていうのに絡んでいるんだけど、明晰夢の多くは普通の夢から移行して始まるっていう性質上、もしその夢で自分がベジータを演じていたら明晰夢ではギャリック砲を打てるかもしれないということになる。

体外離脱だと、「脳が通常の現実世界を再現しようとする」ので主人公はいつもの自分自身っていうのが絶対条件だけど、夢ならそんなことはない。

でもね、ひょっとするとね、この辺は各個人のイマジネーションというか想像力によってかなり差があるのかも。すごくおもしろい部分だと思うから、色んな情報が集まるといいな~と思ってます。

ちなみに僕はフリーザに侵略されて恐怖政治を敷かれる夢ばかり見ます、子供の頃から。

味がすごく分かる

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「脳は寝ているけど身体は起きている状態」っていうのの最たる例である体外離脱中でも、実は五感全部が錯覚されるかというとそうではなくて、特に味覚と嗅覚あたりは体感するのが難しい。僕もほとんど経験がない。

夢の研究者として知られるインゲ・シュタルフ博士(Inge Strauch)ら3名による研究「睡眠の心理学 (1966年)」に拠ると、私たちほぼ全員の夢は視覚に支配され、40〜60%が聴覚を、動きと触覚は15〜30%、嗅覚を感じたのはわずか1%以下という結果が明らかになった 

Psychobiology of Altered States of Consciousness.

それに対して、明晰夢だとなぜか味覚がかなり感じられる(僕だけ?情報提供いただけると嬉しいです)。匂いもまあまあ。

この文章を書いている前夜も、ソフトクリームだよと言って渡されたちょっと黄色っぽくて粘度の高いカスタードクリームみたいのをぺろぺろ舐めた時に、見事にカスタードの味がしたのを鮮明に覚えている。

おわりに

おまけとか言いながらこの記事のサムネイルを飾るテーマが書かれていたりするような体たらくでしたが、明晰夢を見るためには脳の覚醒度を上げることが大切ということが分かってもらえたでしょうか!

体外離脱ができるようになるとそのおまけで明晰夢が見れたり、双方を行ったり来たりできるようになっちゃうのであんまり「明晰夢だけを狙って見に行く」ことってない気がするんだけど、まあこっちのほうが疲れないし受動的でいい気はするのでマスターできると良いかなと思います。

ただしこの辺の話はどれも少し練習してしまうと、もう全体的に普通の夢を見れなくなってしまうので、たまにはぼんやりしたのも見たいななんて今では思ったりします。最近は睡眠時間自体が短くて疲れぎみなのでわりと夢すら記憶にない感じですが。

体外離脱について興味が湧いた方は、冒頭でも紹介した以下の記事で詳しく解説しているのでぜひどうぞ!明晰夢との立ち位置との違いについてももっと踏み込んで書いています。

それではみなさん、良い夢ライフを~。

みるみ
みるみ

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。

趣味で夢や睡眠の研究をしている人。体外離脱が得意です。

この記事へのコメント

こんにちは。みるめもさんの夢や体外離脱の記事はすごく面白いです。
私は最近、「自分じゃない人の視点」の、いろいろな世界観の夢を見ることが多いです。
夢を見ながら「これ夢だなあ」と思っている自分と、私が視点を借りている(表現が難しいですね)「自分じゃない人」がいます。毎日見た夢を覚えているわけではないのですが。
こういうのは明晰夢なのでしょうか?
この記事と体外離脱の記事を読むまで、夢の話ってなんとなくスピリチュアルな分野なんだろうなというイメージが強かったので、意外でした。
リアリティチェック、なんとなくわくわくするので、早速やってみます:)

ありがとうございます~!

明晰夢の定義って別に誰かがしっかり決めているわけじゃないので、「夢だなとわかっている」なら「明晰夢を見れている!」と思っていいと思います。
他人の視点タイプの夢は訓練で習得するのが難しく、持って生まれた才能(というか運w)だと言われることが多いです。僕は見たことないです(FPSじゃなくTPSならまああるんですけど、それでも中心は自分です)。

たぶん上達したらすごく面白い体験がいっぱいできると思います。ぜひ頑張ってみてください :)

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