【微分音ってなに?】カービィスパデラで読み解く微分音

【微分音ってなに?】カービィスパデラで読み解く微分音
みるみ

微分音っていうものがあるんだけど、それを感覚的に広く伝えるために良い題材があることを思い出したのでちょっと書いてみます。

なんと、みんな大好きカービィスーパーデラックスで微分音が使われている音楽があるのだ!

微分音ってなんなのよ?

微分音というものが一体なんなのかを堅苦しく説明し始めてしまっては僕のブログとしては最低なので、まずはこれを聴いてください。

※洞窟大作戦のBGMを聴いてもらうために YouTube を掲載していましたが、何度張り替えても動画が削除されてしまう(当然)ので掲載自体をやめました。

おなじみの「洞窟大作戦」で流れる「ちていの木々エリア」とか「古代のとうエリア」のBGMです。
あんまりなんのことを言っているのか分からない、「う~ん?」って感じ?

00:19とか、1:24からとかをよーく聞いてみてください。

  • 妙に気持ち悪い感じがしませんか?
  • 怪しくて不気味な感じがしませんか?(まあもともとそういう雰囲気の音楽ではあるけど…)

それこそが「微分音」の正体だ!

微分音はピアノで弾けない

今聞いてもらったメロディ、なんとなく音同士が近くて気持ち悪い気がしませんでした?

まるでヴァイオリンで同じくらいの音程をキーキー引き続けているような。

そう、そこが微分音のポイントです。

微分音とはピアノの12鍵盤には現れない"もっと隙間の音"のことをいいます。例えば、ファとファの#のさらに間、という感じです。

Microtonal_music

ピアノは半音を含めて1オクターブを12分割均等に割っていますが(平均律)、その12分割よりさらに細かい音をなんかかっこつけやがって「微分音」とか呼んじゃっているわけです。

この「半音の間をどれくらいの間隔でさらに割るか」によって、実は微分音の中でもいくつか種類が分かれます。

  • 四分音(半音の2分の1)
  • 六分音(半音の3分の1)
  • 八分音(半音の4分の1)
  • 三分音(長2度の3分の1)

などが代表的です。

長2度とは:端的に言えば「半音2つ分」のことで、三分音はそれを3で割る→つまり2÷3みたいなイメージです。「割り切れないじゃん!」というツッコミに関してはまたややこしい話になるので別の記事でも書こうかなと思ってます…。

歴史的には民族音楽にしばしば登場するもので、特にトルコなんかではよく聞きます。

そんな状況の中現代音楽でも取り入れられるようになったのは文字通り本当に現代になってからで、ましてやゲーム音楽に取り入れちゃおうなんていう考えを1996年に思いついて実行してしまうのは、さすが石川さん、安藤さんたちってとこでしょうか。

見事「怪しくてちょっと怖い?感じ」で僕たちを楽しませてくれました。

譜面上の扱い

微分音の表記にも色々あります。

Microtone1

さっき紹介した「何分割するのか」によって記号が分かれている、ということです。

ちなみに「ダブルフラット」と「ダブルシャープ」を見たことなかった人も多いのでは?

Microtone2

現在の「音楽」(この場合「西洋音楽」と呼ぶのが一番近いかと思います)というものが12個の音で構成されるようになったのには紆余曲折ありますが、絶妙なバランスによって成り立っていることがよく分かると思いません?

だって、こんなに記号が多かったり、もしくは五線譜が十線譜だったりしたらたまったもんじゃないもんね。

実際に楽器で演奏するときはどうなるのか

アコースティック楽器(打ち込みとかじゃなくて生の楽器)で微分音を含む音楽を演奏する場合のおもしろくて分かりやすい例として、同じく洞窟大作戦のオーケストラの動画を載せておきます。

ここでのポイントはこれ。

例のメロディの演奏楽器が弦楽器である

僕が最初の方に話した「ヴァイオリンがキーキーいわせてそうな感じ」っていうのがバッチリここで再現されているわけなんだけど…。

これ、管楽器じゃなくて弦楽器で演奏されていることにはちゃんと訳があります

管楽器は基本的に口の形(アンブシュア)と息の量、指使いで出す音が決まっています。要はピアノと一緒で基本の12音階を出すことが主軸に置かれています

もちろん細かいピッチ(音程)の調節をする要領で無断階に音高は操作できますが、スタンダードではありません。

でも、弦楽器なら指を抑える場所によって根本的に音程の調節が可能なので、ここでのヴァイオリンアサインはすごく理にかなっているわけ。

しかもギターなどとは違ってヴァイオリンたちにはフレットもないので、「奏者の感覚次第で自由に音程を操れる」というカラクリでした。
(まあ、単に表現としての適切なパート振りでヴァイオリンが役目を担っている側面もかなりあると思うけどね…)

 

というわけで、当然普通のピアノでは微分音の演奏なんてできないわけですが(「調律をそこだけ変える」はチートなので認めません)、なんと世の中は広いものかおもしろいものが存在していて、微分音の鍵盤まで用意されているピアノとかいうキワモノがあります。

Mikroton-piano

見た目は普通だけどなんかすごそうなやつ。どうやら1オクターブを16分割したもののようです。

Mikroton-piano2

こっちは黒鍵の配置も違うもの。1オクターブ22分割タイプ。

なんか不気味ですよねw
見慣れているものが僅かに違うと狂気さを感じるアレでしょうか。四角いスイカみたいな。

おまけ

他に日常で微分音を聞いたことないかなって思ったんですが、そういえば別のゲームでそれっぽいのがあったことをまたもや思い出したんです。

ま た お 前 か。

こっちは情報がなくてざっと調べてみた感じ確証もないんですが…。
メロディは普通に耳コピできるからただの12音階なんだけど、バックのサウンドと後半のコード進行は絶対怪しいと思ってます(なんか情報をお持ちの方いたら教えてください!!)。

この曲はゲームをやっているときから気持ち悪いと思っていたし、同じカービィ作品ならなおさら有り得るだろうと今は思っています。

ちなみにカービィカフェのアレンジにこんなのも。

こうなるとそんなに嫌な気はしませんね~。こっちは微分音っぽさを感じないのはたぶん後ろがすっきりしてるからかな?

とまあそんな感じで、カービィを使った微分音の説明でした!

みるみ
みるみ

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。

この「みるめも」というブログの筆者です。

この記事へのコメント

すごいわかりやすいです。私はカービィが大好きなのでよりわかりやすかったです。微分音の仕組みや細かいところまで書くなんてすごいですね。

ありがとうございます!
たしかにカービィ好きの方には分かりやすい例だと思います~笑

とても興味深い内容でした!
すみませんが、おまけの動画が削除されてしまっているようなので、曲名など教えていただけませんか?

ありがとうございます~~
動画のリンク切れを全て修正いたしましたので再度記事をご覧くださいませ!!

ありがとうございます!

いえいえこちらこそ~

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