Notion を好きになれない理由を言語化してみる

みるみ

かなり昔から Notion を使ってはやめ、使ってはやめ、というのを繰り返している。だけどどうしても好きになれない。常用しようとするのに高い精神力が必要で、結果として気軽に触らなくなり、メモとしてのユースケースをどんどん満たせなくなっていく。

そろそろこの正体をちゃんと自分の中で言語化しておきたいと思ったのでいろいろ書いてみる記事です。

前提は以下。

  • プライベートでしか使っていない
    • Organization や Enterprise 系の機能は使っていないし、差分もよく知らない
  • メモが主な用途
    • タスク管理、テーブル、その他いろんな機能は全く使っていない
  • 無料プランでしか使っていない
    • 一部家族内でチーム用途的に使ったことがあるが、無料プラン状態だとブロック(※)数に上限があり、事実上ほぼ使えない(これは結局、家族なら同じアカウントでそもそもログインして 1 ユーザー扱いとして使えばいいという結論になり解決した)
    • ※ブロックとは Notion におけるコンテンツ内の最低単位のことで、各マークダウン系の記法の 1 行ぶんであったり画像であったりページリンクであったりする

 

まず、初めて使ったときから感じていた謎の違和感の正体から。

Notion はページを開いているときに編集モードか閲覧モードかの概念はなく、編集可能なエリア内をクリックした場合は常にテキストカーソルとしてフォーカスされることになる。この状態でなにかキー入力をしてしまえば当然変更がすぐに反映されてしまう。

どんなウェブサイトやアプリケーションであっても、どこにもフォーカスをあてない状態をつくりだすために無意識に何もないところをクリックする癖がある人は多いと思う。特に、長年いろんなツールを触ってきている人は過去の事故の経験からこの癖がより強く染み付いているはず。

そして Notion はこの「編集可能なクリッカブルエリア」がかなり広いのがまた問題。とりあえず気軽にページを開いて中身を確認したいだけなのに、画面上にキャレット(カーソル)が現れた途端その気軽さは維持できなくなり、開くのに心理的ハードルがぐっと上がる。

「Notion をどうしても使いたいと思えない」というのはもっとブレークダウンすると「Notion を気軽に触りたいと思えない」になるんだけど、文字通りその正体は上記によるものだったと思う。これに気づいたのはかなりあとになってからだったが、自分が PC で触れるユーザーインターフェースの心地よさとして評価しているひとつの大事な要素であることがわかり、学びがありました。

編集モードにつづいてもうひとつアレルギーが治らないのが、ブロック選択モードとテキストカーソルモードが不意に切り替わってしまうアレについて。

さっきも言ったようにページを閲覧しようとしているだけなのにカーソルが現れてしまうので、今度はこれまた無意識にフォーカスを外そうとして Esc を押す。するとなんということだろう、なんか選択モードのステータスが違うものに変わる!!ここで発狂する。

しかもこの気持ち悪さはこれに留まらず、ブロック選択モードからテキストカーソルモードに戻るときは Esc のトグル式であるというわけでもなく、なんと Enter を押さないと戻れない。とにかくコンテンツに影響を与えずにその他の操作を穏便に済ませたいのに、なんでよりによって Enter を押さないといけないのか?ここでまた発狂する。

しかもブロック選択モード中に再度 Esc を押した場合は選択のハイライト表示が消えるので一体何が起きているのかさらにわかりにくい。別にブロック選択モードが終了しているわけではなく、この状態で文字入力などは当然できない。矢印キーで移動したりするとハイライトがまた表示されるがそこで文字入力を再開したいなら当然 Enter を押す必要がわる。わけがわからない。

以上のようなことが起きると結局どうなるかというと、「マウスを持って目的の場所にカーソルでクリックして確実にテキストカーソルを出現させる」という操作を強いられることになります。これは僕にとってとても屈辱的です。当然使いたくないという気持ちになってしまう。

 

もうひとつ大きな話題として、「ページの階層構造の整理をするとそれらページへのリンクが必ず同期されてページ内のコンテンツとして表示される」の件も。これもかなり致命的だと思っています。

どういうことかというとこういう感じ。

notion-screenshot-1

Notion はページの階層を無制限につくることができて、それがサイドバーで表現される仕組みになっている。僕は「フォルダという概念がなくてすべてがページである」という思想も当初かなりしんどいなと思ったけど、それは Notion のアプリケーションとしての方針ならまあそれでもいいかくらいに思っていた。ところが、いまから話す問題はこの件が密接に関連していました。

Notion ではページの下にサブページを配置した場合、なぜか「そのページ内にコンテンツとしてサブページのリンク用ブロックを必ず配置しなければならない」という謎ルールがあるんですよね。ページの階層構造はサイドバーで表現できているのだから別にそんなものは不要と思うんだけど、これを回避することはできないように思えています。

そうなるとどうなるかというと、

  • 単にフォルダとしてだけ使いたいページにもサブページのリンクが勝手に足されていく
  • ページには自分で書くコンテンツだけが表示されていてほしいのに、サブページのリンクを必ずどこかに追いやって保管しておかないといけないのが恐ろしくストレス
    • こんなの組織で使おうと思ったら余計なルール化が増えるとかのデメリットしか感じないんだけど…

そしてまだ驚くのは早い。なんとページ内のサブページリンクとサイドバーの階層構造は完全に同期していて、サブページリンクを削除しようものならサイドバーのページはおろか、ページ自体がまるごと削除される挙動です。ここで三度目の発狂。

コンテンツ内のサブページリンクの順番を変えるとサイドバーのページの順序まで変わります。いったいなんなんだこれは…?

少しでもフォルダページを有効活用しようと思ってページリンクを自分なりに整理してコンテンツ化しようと思ったのに、サイドバーで表現されている階層構造と完全にリンクしているせいでその自由度すらも失われている格好です。本当に何がしたいのかわからない。

まだありますよ。問題のそのサブページリンクですが、自由な貼り方ができるかというとそうではなく、特殊なブロックであるという扱いなのかインデントの調整などが全く自由に制御できないのです(たまに 1 tab ぶんくらいインデントを下げることに成功するけど、いまだにやり方はよくわかっていない)。

notion-screenshot-2

あー。いまこのスクショを撮ろうとしていろいろ試していたらようやくわかりました。例のブロック選択モードにしたときのみサブページリンクにフォーカスをあてることができて、そこで Tab キーを押すとインデントが下がった。使いづらすぎる…。

サブページのリンクを絶対に配置しないといけないなら、毎回どこかに事務的に追いやるよりかは「ちゃんとコンテンツ的に意味のあるつなぎ方をしよう」と頑張ってトライしようとしているのに、インデントの調整もできないとは何事でしょうか(これは上記の通りやりかたがわかったけど、このあと書くようにサブページリンクにフォーカスをあてるのがかなり難易度高いのでやっぱり無理です)。ここまでテキストエディタをちゃんとつくれる会社なのにどうしてこうなってしまうのか不思議でならない。

さらにダメ押しで、ページリンクを貼るとクリッカブル範囲が横幅 100% になるのもすこぶる気に入らないです。これは例の「無意識にフォーカスを外したい」件からすると、「そのへんをクリックしようとしたら勝手に違うページに行った」という恐ろしい事件につながります。ここで最後の発狂。

notion-screenshot-3

例えばさっきと同じこの状態で、マウスでカーソルをあててからインデント調整をやろうとすると…。なんと端まですべてクリッカブル範囲なのでこのままクリックするとページ遷移してしまう。

という感じで、どれも「ちょっと UI の癖がすごい」程度のものではなく明確な思想として強い方針がありそうな問題点ばかりなので、すぐに修正されるものではないと感じています(クリッカブル範囲はすぐ直せると思うけど)。となると我慢してでもこれを使い続けようというふうにはならず、当然使うのをやめる方向になりました。

人類はいまだに単なるクラウドメモアプリの最適解を見つけられずにいる。

(Notion は肝心の文字入力まわりは本当にトラブルなくてエディタとしてはよくできているのに、ただただもったいない)

みるみ
みるみ

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。

この「みるめも」というブログの筆者です。

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