【枕の中材(詰め物の素材)の種類10選】肩こり改善で選ぶべきは数種類だけなので注意

【枕の中材(詰め物の素材)の種類10選】肩こり改善で選ぶべきは数種類だけなので注意
みるみ

枕の基本的なステータス・仕様に「中材」(詰め物のこと)があります。
そば殻とか羽毛とか、よく聞くああいうやつですね。

なんとなくの触り心地や説明文で選んでしまいがちですが、肩こりなどの改善を目的に枕選びをしている人にとっては、選んで良いものはかなり限られています。

今回は代表的なものを10個抜き出してその特徴を「肩こり改善的な視点で」紹介してみます。

もっと細分化したり珍しいものを含めたりすると30種類くらいはいくと思いますが、そんなに挙げても意味がないので今回は10個で。

また、オーダーメイド枕セミカスタマイズ枕(枕のポケットをファスナーで開けることができて自分で好きな種類/分量の中材を入れられる枕)の購入を検討している方はこの記事の内容をよく理解しておくべきでしょう。じゃないと中に入れるものを選べませんからね!

代表的な枕の中材(素材)10個を一覧で比較

まずは10個全てを一覧表で。
表には基本的な項目のみ記載し、詳細はこのあとに紹介しています。

凡例:

「価格」は「◎→安い」、「アレルギーの有無」は「✕→該当者に危険」、その他は言葉通りの意味です。

素材名 硬さ 価格 フィット感 通気性 アレルギーの有無 水洗い
ポリエチレンパイプ
高反発ファイバー やや硬
羽毛
羽根・フェザー 普通
わた(ポリエステル)
スマッシュフォーム
そば殻
マイクロビーズ やや硬
ウール
ウレタン

おそらく普段見かけることになるものはほぼ全てこの10個のどれかに含まれると思います。

カスタマイズ系枕で選べる中材は、このうちのいくつか、もしくは1つの種類からの派生系の中材、といった感じです。

それぞれの素材について

ここから中材1つずつの紹介です。

1.ポリエチレンパイプ

polyethylene-pipes

かなり汎用的に使われている素材。イメージは「ストローを細かく切ったもの」という感じで、適度な弾力と硬さが共存しています。安い。

水で洗えるメリットがそのまま枕の清潔さに直結するポイントはかなりのメリットでしょう。後述しますがほとんどの高級枕はウレタンがメインなので水洗いは敵です。

パイプの量が多すぎると高反発というより「単に硬い枕」になってしまいやすいので注意しましょう。

肩こり改善的なポイント!

比較的硬めで量も多ければ変形が少ないのでまだマシな方です。

が、単体の固形が大きいものは「ゴツゴツとした感触」になりやすいので寝心地は微妙です。これを寝心地優先にして柔らかくしてしまうと他の素材が持つ悪い特徴「沈みが多くて首のサポート力が弱まる」へと近づいてしまうというわけです。

カスタマイズ系枕では比較的メインの中材として使われることが多いので、量の調節はかなり慎重にやることをおすすめします。

2.高反発ファイバー

Highly-resilient-fiber

「高反発」の文字通りやや硬めの素材。しかし素材と素材の間に多くの隙間があるおかげで通気性が良く涼しげで、水洗いにも適しています(速乾性あり)。

結構現代的な素材というか、「昔ながらの枕」みたいなものに採用されていることは少ないです。機能優先の枕でよく見かける感じです。

自分で量を調節するのには向いていないので(というか粒状ではないのでカスタマイズで入れることはない)、硬めが苦手な人は気をつけた方がいいかも。

肩こり改善的なポイント!

一部の「肩こり改善おすすめ枕」で高反発系のファイバーをメインにした枕を見かけます。

僕自身はそれらを所持したことはないものの、僕が持つ「枕での肩こり改善理論」的には効果はあるように思えます。

基本的に「素材がどうか」というよりまずは「ちゃんとした反発力があるか」が重要な要素なので、その意味ではこれは十分にクリアできていると思います。

ウレタンより水洗いができるというメリットもありますし、選択の余地はあるでしょう。しかしいかんせん選択肢が少ない…。

3.羽毛

down-in-pillow

かなりイメージしやすい素材ですよね。見た目の通りふわっと柔らかく寝心地はとても柔らか。ビジネスホテルなどにある枕は「硬いツブツブ感のあるやつ」じゃないときは大抵羽毛です。

しかし素材量が少ないと柔らかすぎて枕の復元力が損なわれ、結果として潰れた枕に寝る=枕の意味がなくなり肩こりへ、となりやすいので十分注意してください。

通気性は良い方ですが、水洗いはおすすめできません。

肩こり改善的なポイント!

個人的に一番注意して欲しいもの。

さっきも書いたようにとにかく柔らかすぎて枕としての本質的な機能(=高さ)を失いやすいので、肩こり改善を目的にしているならまず除外するべき素材です。

羽毛という素材はそこまで格安というわけでもないのでそれなりの値段で売られてしまうことも多いですが、高級な枕(もしくは有名な肩こり改善枕)に羽毛を使ったものは一切見かけられないという事実はよく理解しておくべきでしょう。

余程のことがない限り選ぶ必要はないと僕は思っています。

4.羽根・フェザー

feather

ダウンである羽毛に比べて、羽根(フェザー)は1本1本に骨があるのが特徴(葉っぱの茎のようなイメージ)。

実際に寝てみるとその感触はかなり差異があり、単に柔らかい枕だと物足りない方にはこちらの方が向いているでしょう。意外とゴツゴツした感じになって、たしかにこの妙な感覚はファンがいることも理解できます。

しかしこれが標準の枕というのはあまり見かけません。売っているのも結構レアでは?

肩こり改善的なポイント!

系統的にはさっきの羽毛と同じ注意点です。

アクセントという意味で寝心地こそ変わるものの、素材の性質自体は「羽」であることには変わりないので柔らかく潰れやすい枕になってしまいやすいです。

もちろん自分で素材量を調整できる場合はぎゅうぎゅうに押し込むことである程度対応は可能ですが、首元にしっかり寄り添うようなセッティングはやっぱり難しいということはお忘れなく。

5.わた(ポリエステル)

tubu-wata-cotton

一般にイメージされる「わた」が小さな粒状になってたくさん集まっているもの。「わた」ではありますが「めん(綿)」ではありません。ポリエステル製が一般的。

見た目通り柔らかめでフィット感はかなり良いですが、ダニが出やすいという決定的なデメリットがあります。これ結構悩んでいる方多いみたいですよ…。

肩こり改善的なポイント!

これもどちらかというと柔らかい系なので注意して欲しい分類かと思います。

わた枕は素材の価格が安いこともありかなり広く流通していますが、うーん、これもいいものを見つけたことはない気がする…。

特に覚えておく必要はないでしょう。

6.スマッシュフォーム

urethane-form-smashed

ウレタンを細かく切った(スマッシュ:砕く)端材です。素材的にはウレタンであるもののなぜか枕業界では分けて呼称されていることが多いので僕も今回別にしてみました。

そのウレタン自体が低反発系なのかとかによって寝心地は千差万別ですが、スマッシュフォームの場合は一般的には低反発枕として仕上がっていることが多いです。

量が調節できるので高さの調節にもなるという大きなメリットがある反面、低反発の場合は沈み込みが発生するので同じく注意してください。

「ふかふかでフィットしやすく低反発ウレタン枕と羽毛枕の中間くらいの感触」です。

肩こり改善的なポイント!

安価な低反発枕の上位互換のような位置づけで販売されていることも多く、例えばトゥルースリーパーの低反発枕はこのパターンのものがあります。

かなりパンパンに入れられるので高さを稼げるのはもちろん、意外と反発力もあるように見えるんですがやっぱり長時間頭を乗せているとどんどん沈んでいくのはどうしようもないですね…。

寝心地は僕は好きです。ウレタン同士が分かれているからなのか、普通の低反発枕のあの「なんとも言えない感じ」が随分軽減されてます(なんも伝わってない)

7.そば殻

sleepingf-sobagara

「なぜ枕の素材に"そば"が登場するのか」というのは僕も長年の疑問なんですが、昔の人はそんなに詰めるものを思いつかなかったんでしょうか…。

というわけでそば殻。
これの特徴はとてもシンプルで、「硬いが涼しくて通気性が良い」となります。日本の歴史を考えるとかなり理に適ってますね…!(答え出た)

でもものによってはそこまで硬くはなく、粒度が細かければフィット性も良いパターンが多い気がします。僕は買ったことはないですが、まあ田舎の長屋で昼寝するのには気分的にはいいかも。笑

いずれにしろ分量を増やしすぎるのはNGです。本当に「ただの硬い枕」になります。

肩こり改善的なポイント!

ちょっとあんまりコメントできることがないですが、もともとの素材が硬いので「枕自体の形状」にだいぶ左右されることになると思います。

最近のトレンドでは全然存在しなそうかと思いきや、例えばニトリの売れ筋「高さが10ヵ所調整できるまくら」シリーズではちゃんとそば殻も用意されています(売れているのはポリエチレンパイプの方みたいですが笑)。

8.マイクロビーズ

micro-beads

少し硬度が低めの小さいBB弾のような素材。

1粒1粒が小さいのでうまくハマるとフィット感はとても良いのだけど、頭の位置や向きにすぐに対応してくれる柔軟性に欠けるので、寝返りを打つと快適性が下がります。特に僕はあの「こちらの動きに追従してこない感じ」がすごく苦手です…!(これは伝わりますよね?)

硬さが必要な首元など、部分的に少量使うのが良いかもしれません。

肩こり改善的なポイント!

少なからずこれをメインの中材にして使うのは危険だと思います。

カスタマイズ系の枕でもビーズ系は部分部分の少ないところに少しずつ、という感じで用意されていることがほとんど。

さっきも言ったように広く使ってしまうと変形量も多くなってしまうし、当然沈み込みも増えます。首元なら動きが発生しにくいので、高さを出すように多めに詰め込んでおくとけっこう良いバランスかも。

ビーズオンリーの枕は人をダメにするソファのイメージそのままですからお気をつけて。笑
人以前に首がダメになります(いや人の方がまずい?)

9.ウール

wool-youmou

枕にもウールがあります。しかも洋服での関係と同じで、「わた」の上位互換版のような位置付けになっています。当然素材単価も高いのは同じですしね。

天然素材であるため通気性に優れており、ポリエステル系の科学素材よりムレにくいです。しかしその分ダニの出やすさはやや高めなので相変わらず注意。アレルギー持ちの人は天然素材の利用は要検討!ですよ。

肩こり改善的なポイント!

ウールの枕は僕は使ったことがないのであまりお伝えできることがありません…。しかし素材自体は柔らかい系統ですから、今まで書いてきた注意点とほぼ変わらないかと。

あまり見かけるものではないので特に注意する必要もないかと思います。

10.ウレタン

urethane_foam

最後、ウレタン。
これまでにも何度か触れていますが、ほとんどの有名枕は結局ウレタンがベースになっています。

各メーカー「オリジナル素材を開発!」とか色々言っていますが、蓋を開けてみると一番下にあるのはいつものウレタン、みたいな感じですね。

しかしこれはメーカーの怠慢ではなくウレタンが持つ性質は良い枕としての条件にとても合致しているからだと僕は思っています。

注意すべきは

  • 高反発ウレタン
  • 低反発ウレタン

という全く毛色の異なるものが同時に語られてしまう可能性があること。これまでにもお話してきている通り「低反発のウレタン」は注意すべき度合いが高いです。

何十年(?)も前ですが、

Foam-Pillow-urethane

いわゆるこういうタイプの「低反発枕」が大流行したときの印象が今でも強く残っているのを僕は感じていて、「硬い枕は正義じゃない」という風潮がある気がします。

しかし肩こり改善的にはこれは危険な考え方です。

ある程度の反発力があればいいものの、ムニムニして自分の身体によって形状が変わってしまうようだと適切なサポートは得られません。枕は「高さを維持し首周辺の刺激をとにかくなくすものであるべき」と普段から言っている通り、この目的を考えると相性は悪そうなことが伺えます。

もちろん低反発枕は全てがダメと言っているわけではないです。僕がおすすめしているTOP3に入るスリープマージピローは低反発系のウレタンを利用していますし、六角脳枕のようにアイデアと工夫で低反発枕のデメリットを上手く避わしている商品もあります。

というわけで、「枕選びをする際は基本的にウレタン系の中から選ぶことになる」くらいに覚えておくといいのではと思います。

肩こり改善的なポイント!

ほとんど上で書いてしまいましたのであまり言うことはありません。ウレタンの特徴についてはもっと紹介したいところもある反面、「商品によって性格が違いすぎるので一般的な紹介は無理」というのも感じて悶々としています。この辺が限界ですかね…。

そういえば決定的なデメリットがあって、ウレタンは水洗いができないんですよね。陰干しなどが常套手段ですが、メンテナンスには気を遣いたいところ…!

おわりに:枕で大事なのはひとつひとつの仕様ではない

代表的な枕の中材・素材10個をご紹介しました。

大事なのは「ひとつひとつの仕様がどうか」ではなくて「総合的にどういう寝心地体験を提供してくれるか」です。枕選びはPC選びとは違います。

例えば身も蓋もないことを言うと、肩こり改善枕として実績がある商品はそのほとんどがウレタン枕です。

厳選おすすめ枕記事で紹介している枕もトップ3は全てウレタンですし、高級なラインナップで今回挙げたような中材を使うのはオーダーメイド枕くらいです。
「枕はこの3つ以外買うな」の記事をまだお読みでない方は からどうぞ。

汎用的な知識をつけつつ、最後は必ずこの3つから選ぶようにしましょう!

みるみ
みるみ

ブロガー、ソフトウェアエンジニア。

肩こりを治したくて枕に 15 万円以上も使ってしまったゆえにめちゃくちゃ詳しくなってしまった悲しい人。

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